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未犯の人  作者: 鰐太郎
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霊感商法

私が小学五年の時の話である。


肉体的にも精神的にもあまり強くない親父は心臓をやってしまい

わりと大きめの手術をした。

入院期間も長くなったので、母は毎日病院の往復で疲弊しておった。


そんな時である。


床の間に妙な柄の壺が置いてある。

「なにこれ?」

婆さんが言う。

「大事にしないと駄目だよ。守り神様だからね」

話を聞くと、壺に牛の様な柄が現れたらバスに乗ってはいけない、

事故に遭うからと。


何それ?と思いながら

「この辺蛇のように見えない?」

って言ったら

婆さんは顔真っ青にして、居間から知らないおばさんを連れてきた。


壺を指して「蛇に見える」って言ったら

そのおばさんは声を荒げて

「違います」と。

意味わからん。


壺だけではない。

実家のハンコと言えば

昔は安い三文判を使っていたが

知らない間に象牙のゴージャスな印鑑になっていた。


おばさんは定期的に家に来るようになりまして

手を合わせてまじないをするので

私らも黙って手を合わせるという

良く分からない慣習をするようになりました。


おばさんは私に言う。

「あなたは将来信心深い人になります」と。

さらにこう言う。

「あなたは将来恋愛結婚します」と。

母は喜んでいたが、

何でそこまで分かるの?と。


まあ、今でも未婚なんですけどね。


結局親父は2年後に病院でへんな死に方をしまして。

死亡届って死因不詳でもいいんでしたっけ?

爺さんは亡骸を見て恨めしそうな顔をしてました。


その後も爺さん婆さん母ちゃんは

口寄せとかいう良くわからないものにしばし通いまして

祈祷師みたいのに親父の魂が降りるっていう。

「私は生前の行いが良かったので天界で結構高い地位にいます」と。


いや、あなた殆どニートだったでしょ?


どうやら結構な貢物をしたようで

結局霊感商法というものを知るまでに結構な時間が掛かってしまいました。


私はお陰様で神様というものを一切信じない人間になりましたとさ。

あほくさ。


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