危機管理能力
俺は川島楠雄、何処にでも居る普通の高校生だ。
神視点
あーあ、また失敗した。
転生者がまた封印されてしまった。
次はこいつだ。
川島楠雄。こいつを自然に殺して転生させる。
定番のトラックだな。
フムフム、今日は7時35分にN市のD学校に登校するのか。
ではN市のD学校通学中、7時35分に衝突っと!
そして、このトラックに打つかったモノは誰であろうと死ぬ。
そういう設定にしておいた。
よし、そろそろぶつかるぞ、
ってあれ?
わ、渡らない!?
ここでわたるはずなのに?
あろうことか、楠雄はトラックが通ることができない路地に隠れているではないか!?
あ、あり得ない!?
楠雄はアッサリと自然に避けて見せた。
これでは神の威厳が保てなくなってしまう。
ならば、この後楠雄は集団でバスに乗る予定があるはず。
次はバスの中のモノは皆死ぬ。
13時50分っと。
そして12時50分、楠雄も含めた学生がバスに乗り込み出発した。
よし! 殺した! 今度こそ殺った。
しかし、13時49分、あろうことか楠雄だけがバスの窓から半身を乗り出しているではないか!?
バスはガードレールを突き破り崖下へまっ逆さま、しかし楠雄だけはバスから飛び出し、木がクッションになり擦り傷程度ですんでいる。
なんなんだ、こいつは一度ならず二度までも! あり得ない!
次は病院!
駄目! 失敗!
次! 火事!
駄目! また失敗!
次! 洪水!
駄目!
つ、次だ! 地震!
これも駄目!
次! 戦争!
これでも駄目だと!?
次! こんどこそ! ウィルス!
なんで駄目なのだ!?
次! 隕石! あっ!
熱くなって気が付くのが遅れてしまった。
ち、地球が滅亡してしまった……。
そして、神の目の前に楠雄が現れた。
「楠雄に問う。 なぜ貴方は最期まで生き延びることが出来たのだ?」
楠雄は静かに答えた
「俺から言わせれば皆、危機管理能力が足りない。」
続け様にこう追加した
『それは、神 お前もだ!』
いきなりトラックが神にぶつかり、神は消滅した。
そして誰もいなくなった……
躱しMAX男