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おとなしく私を抱きしめろ

作者: 猫の玉三郎


「おとなしく私を抱きしめろ」


「ふえ!?」


 放課後の美術室。夕日がわずかに窓から漏れ出る。もともと極端に少ない美術部員は、俺と彼女の2人だけだ。なのにこの状況はなんだ。


「無駄口たたくな。いいから早く」


 彼女に迫られ、半ばヤケクソで彼女を抱き寄せた。細い腰、柔らかい肌、感じる息づかい。彼女も僕の体に腕をからめ、ぎゅうぎゅうと体を押し付けてくる。甘い匂いが鼻をくすぐった。


 恐るおそる、彼女の腰にまわす腕に力を込めた。恋人関係でもない彼女に、僕はこれ以上どうしていいかわからない。


「どうしました。何かあったんですか」

「……」


 彼女は何も言わない。代わりに俺の体を思いっきり締め上げてきた。ちょっとちょっと、 本当にどうしたんだ。いつもの強気な部長はどこにいったんだ。


「……頭もなでろ」


 思わず吹き出しそうになったが、ここでからかうのは良くない。片方の手で、彼女の小さな頭をゆっくり撫でる。どれくらい時間がたったんだろうか。ひどく長く感じた。少し体を離して、様子をうかがう。


「落ち着きました?」


 彼女はこくんとうなずくものの、体は震え、鼻をすする音が聞こえる。

 はあ、仕方ない。


「もう少しだけですよ、部長」

「すまん、小峰」

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだろ、何があったのか? でも、部長のあの姿にさすがのいじわるも鳴りを潜めますね。そんな小峰くん、いい!! 素敵でした〜
[良い点] うーん、イイネェ 構わんッ! 続けたまへ!! [一言] 小峰爆発しろあああああああ!!!
[一言] 小峰くんが意地悪してないだなんて……! どうした小峰くん!? そして先輩はもっとどうした!?
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