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海を切り裂く超音波メス

作者: あびす

「黒沢……黒沢、起きてください……」

 こんな時間に何だろう。お嬢様の声がうっすらと聞こえる。俺は寝ぼけ眼をこすりながら眼を開けた。

 ぼんやりとした輪郭だが、確かにお嬢様の顔が見えた。俺のベッドを覗き込むような形で、横に立っている。

「どう……なさいました?」

 俺は顔をこすりながら、ゆっくりと起き上がった。まだ頭がぼんやりしている。時計に目をやると、AM5:00を指していた。えらく早いな。

 次第にお嬢様の顔がはっきりと見えてきた。いつもどおりの可愛らしい顔立ちに、いつもどおりのメイド服……

 ……っておい、いつもどおりじゃねぇ! メイド服ぅ!?

「お、お嬢様、その格好は?」

「あの……私を、連れ出していただけますか?」

「……」

 お嬢様―醍醐陽子だいご ようこ様―は、ここ三ヶ月ほど外に出ていない。そのことはお嬢様の身の周りのお世話をしている俺がよく知っている。

 ここ醍醐家は、音楽で財を成した家である。お嬢様はその跡取りとして、過大な期待をその身に集められていた。

 確かにお嬢様の持つ音楽的な資質は、素人の俺が見ても素晴らしく、特にその歌声は、俺が今まで聴いてきた歌声のなかでも間違いなくナンバー1だ。

 ……しかし、三ヶ月前のレッスンの時だろうか。お嬢様が歌った途端に、周囲のものが全て切り裂かれた。幸い重傷者はいなかったのだが、その被害は醍醐家の名誉を傷付けるには十二分のことだった。

 跡取りとしての惜しみない賛辞は、あまりにも酷い侮蔑の言葉に変わり、お嬢様は完全に軟禁状態となっていたのだった。

 専門家が言うには、「超音波メスのようなもの」らしい。些か信じられない言葉だが、あの惨状を見てしまったからには信じざるを得ない。

「私……もう一回、歌いたいんです……。この三ヶ月、私は生きていなかった……」

 確かにここ三ヶ月間のお嬢様は、全然元気がなかった。そりゃそうだ。お嬢様にとって、歌は生きがい以上のものがあるだろうから。

 かく言う俺も、お嬢様の歌声で人生が変わった口だ。

 かつての俺は、ガン=カタを極め、数多くのやんちゃをやってきた。

 屠った命は数知れず。多くの組織からの敵意をこの身に集め、殺し合いの螺旋にその身を委ねていた。

 だが、そんな俺を救ったのは、お嬢様の歌声だった。

「無茶な願いというのはわかっています。ですが……私は……」

「……少し待っていただけますか。私にも準備をさせてください」

「黒沢!」

「……今から着替えますので、少しの間だけ、あちらを向いていただけると有難いのですが……」

「あ、す、すみません!」

 お嬢様が慌てて俺に背を向ける。俺はベッドから起き上がり、洗面所で顔を少し洗うと、パジャマを脱ぎ、着替えることにした。



 俺がお嬢様に出会ったのは、忘れもしない。あの雨の日だ。俺は仕事で少しヘマをやり、この家の近くでうずくまっていた。

 あの時は、このまま死ぬのも悪くはないと思った。雨が傷口に染み、水溜りを赤く染めていた。

 だが、俺に降りかかる雨は、いきなり遮られた。妙と思った俺が見上げた先には、傘を俺に差し出しているお嬢様の姿があった。横でお付きの者が慌てている。双子の姉妹だ。

 うずくまる俺に、お嬢様は歌を聞かせてくれた。その歌を例えるならば、聞いたことはないが、天使の歌声のように心地よかった。

 それからだ。足を洗い、この屋敷で働くようになったのは。

 俺は洗面所で軽く顔を洗って、ワイシャツを着、愛用のべレッタM92と給弾用のアームを腕にかける。そのまま、昔の仕事で羽織っていた黒い外套を身に纏った。お嬢様を連れ出すのだ。おそらく追っ手との武力衝突は避けられないだろう。長らく使うことの無かった、このべレッタ。それを再び使わなければならない破目になってしまったが、悔いは無い。

「お嬢様、終わりました」

 俺が声をかけたあと、お嬢様がゆっくりとこちらを振り返る。お嬢様はしばらく絶句しているようだった。何かおかしいところでもあるのだろうか。

「い、いえ。黒沢のその格好、とても久しぶりに見るので……」

 どこか恥ずかしさのようなものが感じられる口調だ。

 それにしても、お嬢様のメイド服姿はそれはそれで眼福なのだが、これでは如何せん目立ちすぎるだろう。なんでメイド服を着ているのかはよくわからないが……。

「あの、お嬢様、よければお着替えになられたほうが……」

「え?」

「その服装、とてもよく目立ちます……。あの、私の服でよければ」

 俺はクローゼットを開けて、適当な服を見繕う。とりあえずサイズの小さめなワイシャツ、あと、同じくサイズの小さめなズボンと、控えめなコート。

 サイズ的な不安が残るが、メイド服よりはマシだろう。

「は、はい。すみません」

「私は布団を被っておきますので、お済になられましたら一声お願いします」

 俺は自分の布団を頭から被り、お嬢様の着替えが終わるのを待った。確かにお嬢様のお着替えは気になるところなのだが、チラチラ覗くなんてことが出来るはずが無い。

「あの……黒沢?」

「はい、どうなされましたか?」

 俺は布団の中から声を出す。

「あの、ウエストがぶかぶかで……」

 布団をはぐってみたら、ずり落ちないよう恥ずかしそうにウエストを握っているお嬢様の姿があった。少々戸惑っているようだ。正直な話、可愛い。ときめくものがありすぎる。

「あ、ちょっとお待ちください。ベルトを探しますので」

 確かいらないベルトがあった筈だ。クローゼットの中を見る。あった。

「ちょっと失礼しますね」

 お嬢様の腰にベルトを巻きつける。やはり、相等長さが余るようだ。鋏を持ち出して、余った部分をカットする。これでも少しゆるいみたいだ。裾の長さも余っている。やはり無理があったみたいだ。16歳のお嬢様に、少し小柄なほうとはいえ、24歳の俺の服を貸すことは。

「あ……すみません」

「いえ、構いません。寒いですので、コートのほうを……」

 今気付いたのだが、シャツの裾も余っている。ぶかぶかすぎる。あまり言いたくないが、萌える。

 お嬢様にコートを着せ、ズボンの裾を折り曲げ、帽子を目深に被ってもらう。一応、これでメイド服よりはマシになったみたいだ。あ、これは目立つかどうかという意味で。

 俺は財布と車のキーを持ち、少し深呼吸をした。

 もう戻れることはないだろう。だが、俺を救ってくれたお嬢様を、今度は俺が救う番だ。

「お嬢様、行きましょう!」



 屋敷の地下駐車場。そこに俺の車はいつもと同じように止まっている。ライムイエローのサーブ9-3カブリオレ(注:オープン状態になる車)。

 盗難防止装置を解除する。『ピュッピュッ』という独特の電子音が鳴り、それは静かな地下駐車場の中で予想以上に響いた。

「お嬢様、どうぞ」

 助手席の扉を開ける。おずおずとお嬢様が助手席に乗り込んだ。それを見届け、俺も運転席に座る。左ハンドル。如何せん目立つのだが、ここで屋敷の車を使うわけにもいくまい。

「……行きますよ。いいですね?」

「……はい」

 センターコンソールにあるエンジンキーを捻る。2リッターの排気量を持つ、ターボ付きのエンジンが唸りをあげた。

 アクセルを踏み込む。警備員も居眠りをしているようで、此方に気付かない。俺達は何もとがめられず、屋敷から出た。

「ところでお嬢様、どちらへ……」

「海へ……」

「かしこまりました」

 少し経てば、屋敷では大騒ぎになるに違いない。それにも関わらず、国道を突っ走る俺達。少し面白くなった。

 時計を見ると、AM6:20。既に陽が差しており、日曜の早朝ということで車通りも少ない。ふと横のお嬢様に目をやると、うつらうつらとしているようだった。流石に朝が早かったから、仕方ないことだろう。

 俺はお嬢様がよく眠れるように、オーディオの音量を落とす。オーディオから流れる音のリズムに合わせて、ステアリングを指で叩きながら、海へ向けて車を走らせた。

 海までは割と距離がある。陽射しが強くなってくると同時に、車の量も増え出した。今の俺達は、はたから見ればどのように見えるのだろうか。

『あたしは絶対、あなたの前じゃさめざめ泣いたりしないでしょ』

 オーディオからのBGM。

「あなたしか見てないのよ。今すぐにここでキスして」

 お嬢様の小さな声。ちらりと助手席を横目で見れば、BGMにあわせて口ずさむお嬢様の姿があった。起きてしまったのだろうか。オーディオの音量は下げていたのだが。

「あ、起こしてしまいましたか?」

「いえ、結構です。……おはよう、黒沢」

 お嬢様が笑った。

「行かないでね、何処にだって、あなたと一緒じゃなきゃ厭よ」

 BGMに合わせてお嬢様が小さな声で歌声を紡ぐ。……歌うと超音波メスが出るんじゃなかったのか?

「あれ、お嬢様……?」

「ふふ、コレぐらいの声じゃ、超音波メスは出ないんですよ」

「そうですか」

 お嬢様は完全に歌えないわけじゃなかったんだな。でも、その声は隣に座っている俺でさえほんの少し聞こえる程度なのだ。全然歌った気にはなれないだろう。

 でも、久々にお嬢様の歌声が聞けた俺は少しテンションが上がっていた。信号待ちの時に、幌の開閉スイッチに手を伸ばす。

「きゃっ!?」

 突然開けた天井に、お嬢様は少し驚かれたようだ。……いかん、少し寒い。時間が早すぎた。

「……お嬢様、寒くありませんか?」

「いえ、私なら大丈夫ですけど……」

「いや、私が寒いんです」

 私が苦笑すると、お嬢様も笑った。



「お嬢様、着きましたよ」

 海に着いた。俺は車を止め、外に出る。秋の海。少し肌寒い潮風が、お嬢様の髪を揺らした。

「ありがとう、黒沢……」

「いえ、お嬢様のためなら、俺は何でも出来ます」

 俺の言葉を聞き終わらないうちに、お嬢様が跳ねるように砂浜へ向かう。よかった。恥ずかしい言葉聞かれないで。俺はその後からゆっくりとついて歩いた。

 砂浜を舞うお嬢様の姿は、まさに天使のようだった。

「I'll never be able to give up on you…」

 お嬢様の歌声が海原に響く。俺のほうには届いていないが、水面には時折鋭い切れ目が走った。あれは超音波メスなのか。

「So never say goodbye and kiss me once again♪」

 お嬢様が歌っている姿は本当に楽しそうだった。俺もその姿を見て、目を細める。

「駆け落ちゴッコはお終いよ、お姉様」

「!!」

 突然の声に、俺は後ろを振り返る。俺の車の隣にあるのは見覚えのあるジャガーのXJ-R。屋敷の車だ。……そして、お嬢様の妹の、ひかり様。その後ろには、お付きの双子の姉妹の姿が見える。

「わかってる? アナタは醍醐家の恥さらしなのよ、お姉様」

 ひかり様の侮蔑するような言い回し。俺の方に近づいて来ていたお嬢様は、俺の腕をぐっと握る。

「さぁ、早く戻りなさい。お父様とお母様は、ホントに凄く怒ってるわ」

「……イヤ。もうあんな暮らしなんかしたくないッ! 私は歌いたいの、外に出たいのッ!」

「まだわからないみたいね。歌うと超音波メスが出るようなアナタは、醍醐家の恥さらしなのよ。あたしとしては、死んで欲しいぐらいだわ」

 ひかり様が嘲るように笑った。お嬢様が俺の腕を掴む力が、より強くなる。

「黒沢、どきなさい。今ならまだあたしがなんとかしてあげるわ」

 ひかり様の言葉と共に双子が少しずつこちらへと出てくる。お嬢様をチラッと見る。不安と怒りがない交ぜになった表情。

 ……俺が取るべき道は只一つ。俺はお嬢様を守る。お嬢様を救う。それ以外の道は無い。

「……お嬢様、離れて」

「黒沢?」

「ひかり様、陽子様はただ歌いたいだけ。それをどうしてお止めになられるのですか? 歌えない気持ちは、貴女様ならお解りになられる筈です」

「わかんないわね。あたしはお姉様みたいな歌バカじゃないのよ」

 ひかり様が手を振る。双子姉妹が歩き出した。

「黒沢」

「退く気は」

「「ないのか」」

 双子姉妹がじりじりとコッチに近づいてくる。

「無いな。毎度のコトながら、仲がよろしいことで」

「「ふざけるな」」

 双子姉妹が同時に腰の直剣を抜く。見とれるほどまったく同じ動作で。

 ひかり様のほうを見る。双子姉妹を止めようとする気配は見られない。やれやれ、力づくかよ。

「……お嬢様、離れて」

 俺は両腕の袖に仕込んでいたべレッタを取り出し、構える。ガン=カタ特有の構え。

 ただ、剣と戦うには剣が最適なのだ。車の後部座席に隠している日本刀「はなまるき」を取りに行かねばならない。

 じゃあ、少し難しいが、いなしながら車に向かうとするか。俺は砂浜を蹴り、車のほうに足を進めた。



 戦闘、開始。

「貴様という男は」

「前々から気に入らなかった」

 双子姉妹が同じモーションで、同じタイミングで斬りかかって来る。俺はそれをべレッタでいなし、威嚇で何発か撃つ。

 だが、双子姉妹も甘くは無い。流れるような動きでニ撃、三撃と打ち込んでくる。そのタイミングは二人ともまったく同じ。やれやれ、よくここまで鍛えたもんだぜ。

 防戦一方。車までたどり着ける気がしない。

「黒沢!!」

 お嬢様の声がした。車のほうからだ。その次の瞬間、俺の愛刀「はなまるき」が砂浜に投げ込まれていた。

「お嬢様、感謝します!!」

 べレッタを放り投げ、はなまるきを手に取る。即座に抜刀、鞘を順手で、刀を逆手に持つ。

「「小癪な真似を!」」

 双子の直剣が閃く。だが、遅い。遅い遅い。俺は悠々と鞘と刀でいなし、逆にこちらから打ち込む。

「くっ……」

「こいつ……」

 刀を持った俺が、接近戦で屈することは無い。何故なら俺は、ガン=カタを極めたからだ。

 俺の怒涛の攻撃の前に、双子姉妹はだんだんと退がっていく。そう、俺がべレッタを放り投げた場所に向けて。計算通りだ。

「どうした? この程度か?」

「貴様ッ……」

「舐めるなッ……!」

 双子の打ち下ろし。それもいなし、鞘と峰を思いっきり叩き込む。

「「がッ……」」

 叩き込んだ後、俺はそのまま手を離し、べレッタを拾って双子のこめかみに突きつける。

「ゲームオーバーだな」



「……ひかり様、どうぞお帰りになられてください」

 俺は双子にべレッタを突きつけたまま、ひかり様を睨む。

「……本当に過ぎた執事を持ったわね、お姉様」

 ひかり様がため息をつく。その時、手が腰に伸びたのを、俺は見逃さなかった。

「お姉様、アナタに生きてもらってちゃ、困るのよ。あたしが醍醐家の跡取りじゃなくなっちゃうからね」

 ひかり様が腰から拳銃を取り出す。……デザートイーグルッ!?

「お嬢様ッ!!!」

「醍醐陽子は、使用人と駆け落ちの末、不幸な事故で命を落としました、と……」

「……行かないでね、どんな時も、あたしの思想を見抜いてよ」

 お嬢様の歌声と同時に、ひかり様の両腕から鮮血が迸る。ひかり様の驚愕の表情が見て取れた。

「あなたの長い睫毛も、その華奢で大きな手も全部」

 お嬢様の歌が終わる。ひかり様は両腕をだらりとたらし、握っていたデザートイーグルがコンクリートの地面に落ちた。

「「お嬢様ッ!!!」」

「……行ってやれ」

 俺がべレッタを双子のこめかみから離すと同時に、双子姉妹がひかり様のところへ駆け寄る。

「ひかり、帰りなさい。もう追わないで。私は醍醐家の跡取りなんか、どうでもいいから。黒沢と一緒に居られたら、それで……」

「…………解ったわよ。さちゆき、帰るよ」

 双子姉妹がひかり様を左右から抱えて、ジャガーの後部座席に乗せる。そのままジャガーは走り去っていった。



「黒沢、大丈夫ですか……?」

 お嬢様がぱたぱたとこちらへ駆け寄ってきた。

「はい、お嬢様こそ大丈夫でしょうか?」

 俺はべレッタと「はなまるき」をしまい、襟を正す。

「あの、黒沢、さっきの……聞こえました?」

 お嬢様がもじもじと問いかけてくる。さっきの「黒沢と一緒に居られたら」ってところだろうが、ここはどう答えるべきなんだろう。

「いえ……ちょっと、聞こえませんでした」

 俺の回答と同時に、お嬢様がほっとしたように胸を撫で下ろした。その後、お嬢様が俺の耳元で囁くように、歌を紡いだ。

「行かないでね、何処にだって、あたしと一緒じゃなきゃ、厭よ」

 お嬢様の歌声。凄く心地良い。

「あなたしか見て無いのよ、今すぐに此処でキスして」

「……」

「……」

 お嬢様が俺の耳元から顔を離し、照れくさそうな笑みを浮かべる。

 そして、俺はそっと、お嬢様の頬に顔を近づけていった。




「黒沢、寝不足なのですか?」

「ッ!?」

 俺はお嬢様の心配そうな声で目を覚ました。周りはいつもと変わらぬレッスン室。にやにやと笑っているひかり様と、呆れたような表情の双子姉妹も一緒だ。

「随分と長いこと寝てたよ。お姉様がこき使いすぎなんじゃないの?」

「もう、ひかりっ!!」

 ひかり様がけらけらと笑った。その横でお嬢様が頬を膨らませる。なんだこの状況。全然把握できない。俺はお嬢様と海でキスしようとしてたんじゃないのか?

「全く」

「だらしのない」

 左右の双子姉妹から肩を叩かれ、俺は座っていた椅子から立ち上がる。……待てよ、まさか、これ、もしかしたら……





 夢かッ!!!!!





 そうだよな。お嬢様の歌声が超音波メスな筈が無いし、話の展開もうまくいきすぎてたし、お嬢様とひかり様はそんなに仲悪くない。それに、ひかり様がデザートイーグルなんか使えるはずが無い。

 しかし、何なんだろうあの設定は。そんなに俺はひかり様と双子姉妹を嫌っているのか?

 俺はばつが悪そうに頭をかく。

「黒沢、しばらく休んだほうが……」

 お嬢様が心配そうに俺の顔を覗き込む。

「〜♪ 幸、幸、ちょっと出るよ♪」

「「はい」」

 ひかり様が実に軽い足取りで部屋から出て行く。双子姉妹もそれに従った。

「……ひかりったら」

「あの、俺は全然大丈夫ですので……。ちょっと昨日夜更かししていたせいかもしれません」

「いえ、ちょっと頼みたいことがあって……」

「何でしょうか?」

 お嬢様はしばらくもじもじした後、ゆっくりと、そして、はっきりと俺の耳元で囁いた。

「今度、二人で海に、お忍びで行きませんか……?」

 俺はこっそりと自分の太腿をつねる。痛い。

「……はいっ!」

 俺もはっきりと、力強く返事した。

読んでいただき、有難う御座いました!


……えー、その、ごめんなさい。

殆ど勢いのみで書いてしまった小説なので、まぁ、その、ごめんなさいw

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