恋の話 〝最後〟
僕は朝起きて最初に
君のことを想うんだ
君のことを一番に想うんだ
だけれど君はいなくなる
僕の前からいなくなる
僕の心からいなくなる
胸にぽっかり空いたよう
穴がぽっかり空いたよう
君は僕の前からいなくなり
男の隣で笑い合う
知らない男と笑い合う
それを見て
それを見ながら思い出す
君の最後の言葉を思い出す
〝君は好きでもなんでもない〟
〝君のことは好きじゃない〟
あの男に近寄るために
僕に告白したんだと
彼女はそう口に出す
あぁやっぱりと思ったね
思ってないけど思ったね
だけど口には出さないよ
だけど顔には出さないよ
その日は僕は泣いていた
心の中で泣いていた
怒るも叫ぶもできずに泣いていた
君は僕の前からいなくなる
男のとなりで笑ってる
やっぱり君は偽物だ
何もかもが偽物だ
笑顔も心も偽物だ
だけれど僕は憎めない
君のことは憎めない
惚れた男の弱味だと
無理矢理自分の心に刻み込む
僕はほんとに好きなんだ
君のことが好きなんだ
でもそれは叶わない
絶対それは叶わない
それは分かっていたけれど
やっぱりやっぱりつらいなぁ
やっぱりやっぱり痛いなぁ
僕は君が好きだった
君の笑顔が好きだった
君の声が好きだった
そんな想いを押し殺し
今日も僕は歩き出す
今日も時間は紡ぎだす