公園デビューで、お母さんが不機嫌。
お出かけした少女神様が僕を連れていったのは、なんか変な場所だった。
正確には、神様や世界には、場所っていう概念もないんだけど。
ほら、僕らって、高位の次元に生きてる意識高い存在だからさ。なんてね。
うそうそ、ちゃんと説明するよ。
無理矢理描写しようとすると……そうだな、何かの集会所みたいな。
僕らが入った時には、もうその集会所にたくさんの神様たちがいたんだよ。
で、その神様たちも、少女神様が僕を連れているみたいに、世界を連れているんだ。
うわあ。うわあ。
僕、こんなにたくさんの世界を見るのって、初めてでさ。
ていうか、多分、これが僕にとって初めて見る他の世界たちだったかもしれない。
なんか、人が多すぎて、人酔いしてきそうだよ。
人じゃなくて、神様と世界だけど。
「大人しくしてなさいよ。初お披露目なんだから」
そわそわする僕に、むすっと少女神様が言う。
それで、大体ここがどういうところか察することができた。
多分、ここは交流会みたいなところなんだろう。
お互いの世界をお披露目しあう、品評会の前哨戦みたいな。
さながら、僕は初めて公園デビューした幼児で、少女神様はお母さん役といったところか。
なるほどね、お披露目する世界が駄犬とあっちゃ、少女神様が不機嫌になるのも無理からぬ話だよ。
親のヒエラルキーは、子どもの振る舞いで決まるからね。
つまり、状況は少女神様にとって絶望的ってこと。
「――あら、○○○じゃないの」
その時、高次元的死角から声が聞こえた。
振り向いた少女神様が絶句している。
多分あまり愉快じゃない知り合いなんだろう。
ってことは、僕にとっては相当愉快なシチュエーションってことだね。
なになに、と僕はわくわくしながら声のした方を振り向く。