5/16
はじめてのお出かけのために、人類には犠牲になってもらおう。
「駄犬、出かけるわよ」
いつものごとくの仏頂面で、少女神様はそう言った。
最近、機嫌がいい時を見たことがない。
一度、精神科で見てもらった方がいいんじゃないかな。
あれじゃあ、早晩まいっちゃうよ。
まあ、神様の世界に精神科があるのか、僕は知らないけれど。
とにかく神様が出かけるといえば、ペットに選択肢なんてないわけ。
というか、お出かけなんて、そうそうないからね!
ガラにもなく、テンションが上がっちゃう。
僕の地上に住む人類たちにとっては、たまったもんじゃないかもしれないけれど。
たとえるなら、惑星が突然銀河系を大移動するようなもんだからね。
もちろん、これは比喩だよ。
宇宙空間も含めて僕の世界の範疇だし、神様と僕が移動するのは、もっと高位の概念的移動なんだ。
まあ、銀河系を大移動するよりももっとひどいと思ってくれればいいよ。
仕方ないけど、人類なんて滅んだ次の瞬間にはもう復活しているし。
ちょっと、今回は、楽しいお出かけのために犠牲になってもらおうかな!
とにかく、そんなわけで、僕は少女神様のお供で出かけることになった。
にしても、どこに行くんだろう?