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肩ポンしたいけど、手がない。
少女神様と僕のつきあいは長い。
僕を世話してくれる神様は、他にも何人かいるけれど、接している時間だったら、多分彼女が一番長いんじゃないかな。
きっと飼育係の中で一番下っ端だからなんだと思う。
面倒な作業とかは、全部彼女にまわってくるかんじ。
一日に一度の毛づくろいとかね。
「あー。なんで、よりによって、こんな駄犬が私の担当に」
僕が全然天変地異をおぼえないものだから、少女神様はすっかり愚痴っぽくなってしまう。
ごめんね。
でも、やっぱり僕は神様や僕の都合で人類を滅ぼしたくないんだよ。
あんまり数が増えすぎて大地が痒くなると、ついぷちっとやっちゃうけれど。
「あんたが芸をおぼえてくれないと、私の給料が上がんないのよう」
……。
えーと。
神様の世界も色々あるんだね。
僕に手があったら、肩ポンして慰めてあげることもできるのに。
世界って本当不便だと思うよ。うん。