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解体屋、異世界を更地から救う ~俺の分別スキルが魔王の遺跡をリサイクルする~  作者: もしものべりすと


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第二十章 新たな始まり

魔王城攻略から一年が経った。


 世界は、大きく変わっていた。


 魔王の遺体から漏れ出していた魔素汚染が止まり、世界中で環境が改善し始めた。枯れていた土地に草が生え、汚染されていた水源が清らかになった。


 そして——「解体」という概念が、世界に広まり始めていた。


「解体ギルドの設立許可が、正式に下りました」


 リーネが、書類を手に報告した。


「王国公認の職業ギルドとして、解体業が認められます。ギルドマスターには、桐生さんが推薦されています」


「ギルドマスター、か……」


 拓海は、窓の外を見た。


 王都の景色が広がっている。一年前とは違い、あちこちで工事の音が響いている。古い建物を壊し、新しい建物を建てる。その流れが、少しずつ生まれ始めている。


「受けるのか」


 ドルグが尋ねた。


「受ける。でも、俺一人じゃ無理だ。みんなの力が必要だ」


「当然だ。わしも手伝う」


「私も」


 シルフィが、ふわりと窓辺に降り立った。


「たくみの仕事を手伝うのは、楽しいもの。これからも、一緒にやりたい」


「俺もだ」


 ガルドが、豪快に笑った。


「解体の仕事は儲かる。これからも、運搬は任せろ」


「私も、引き続きお手伝いします」


 リーネが、書類をまとめながら言った。


「事務仕事は、誰かがやらないと回りませんから」


 拓海は、仲間たちを見回した。


 一人で始めた仕事が、今、これだけの人々に支えられている。


「ありがとう」


 拓海は、素直に言った。


「みんながいなければ、俺はここまで来られなかった」


「礼なんざいらん」


 ドルグが鼻を鳴らした。


「お前のおかげで、面白い仕事ができた。わしらこそ、感謝してるよ」


 解体ギルドが正式に設立されたのは、その三ヶ月後のことだった。


 本部は、王都バルゼルに置かれた。支部は、主要な都市に順次設立されていく予定だ。


 ギルドマスターは、桐生拓海。


 副マスターは、リーネ・ヴァルトシュタイン。


 技術顧問は、ドルグ・アイゼンハンマー。


 特別顧問として、導師エルドランと、騎士クレア・ソルヴェイグの名前も連なっていた。


 そして——ギルドには、続々と入会希望者が集まってきた。


 解体の仕事に興味を持った若者たち。汚染に苦しむ故郷を救いたいという志願者たち。新しい職業に可能性を見出した冒険者たち。


 拓海は、彼らを一人ずつ面接し、適性を見極め、教育していった。


「解体の仕事は、壊すだけじゃない」


 新人たちを前に、拓海は言った。


「壊す前に、見る。調べる。計画を立てる。そして、壊した後も、分ける。処理する。次に繋げる。その全てが、解体の仕事だ」


 新人たちは、真剣な目で拓海の話を聞いていた。


「俺は、手元から始めた。現場の最下層からだ。お前たちも、基礎からやる。いきなり派手な仕事はできない。地味な作業を、一つずつ覚えていけ」


「はい!」


 拓海は、新人たちの顔を見回した。


 彼らの中から、いずれ自分を超える者が出てくるかもしれない。


 いや、出てきてほしい。


 自分一人でできることには、限界がある。この世界を本当に変えるには、多くの人が必要だ。


 だから、教える。伝える。繋げていく。


 それも、解体工の仕事だ。

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