第2話:遺跡に眠る魔力の秘密
アストラリスの遺跡に足を踏み入れたガレンたち一行は、序盤のゴブリン集団を撃退し、ダンジョンの深部へと進んでいた。薄暗い通路を進むにつれ、ダンジョン内の構造が序盤とは比べ物にならないほどしっかりしてくる。壁は滑らかな金属で覆われ、魔力回路の青白い光が安定して脈動している。通路の先には、古代文明の施設が次々と現れた。研究室の大部屋には壊れた試験管や魔道装置の残骸が散乱し、工場エリアでは停止した機械人形の生産ラインが埃をかぶっている。会議室には長テーブルと椅子が整然と並び、食堂には食器が放置されたまま、長い年月を感じさせた。ところどころで白骨化した遺体が見つかり、ボロボロの白衣をまとった一般研究員のものと思われた。「ここ…まるで時間が止まったみたいだな。こんなに遺体があるって…よっぽど急に滅んだんだな」ガレンがオレンジ色のツーブロックヘアを掻きながら呟く。エルナが目を輝かせ、「古代文明の技術…どれだけ進んでたのかしら」と興奮気味に言う。
シオンが短刀を構えながら辺りを見回す。「ゴブリンの臭いがしない…不気味だな。俺、古代文明語とかさっぱりだから、何か書いてあってもわかんねえよ」赤い瞳が鋭く光る。ミリアがタバコの煙を吐き出し、「敵がいねえなら楽でいいだろ。さっさと進もうぜ」とせかす。しかし、通路の突き当たりに巨大な金属製の扉が立ち塞がった。扉には古代文明語で複雑な指示が刻まれ、魔力回路が複雑に絡み合っている。「これは…古代文明語の認証システムね。解読しないと開かないわ」エルナが古代文明研究書を取り出し、解読を始める。「ふーん、さすがエルナ。俺らじゃさっぱりだな」ガレンが豪快に笑う。
解読の最中、近くの部屋でまた白骨化した遺体を発見する。ボロボロの白衣を着た一般研究員の遺体で、首にはICカードホルダーが下がっていた。シオンがカードを手に取り、首をかしげる。「何か書いてあるけど…古代文明語だろ?俺、読めねえよ」エルナがカードを受け取り、目を細める。「…名前は掠れて読めないけど、研究員のIDカードらしいわね。こんなのがあちこちにあるなんて…急に滅亡した証拠ね」と呟く。遺体の周囲には、破れた書類が散乱していた。エルナがそれをかき集め、古代文明語で書かれた内容を読み上げる。「デウスマキナ計画…巨大隕石が来ると観測機が反応し、地下から魔力砲が地上にせり上がってきて…射程範囲に入った隕石を打ったけど、破壊しきれなくて隕石群になって降り注いだ…それで、この文明は滅亡したのね」と理解する。シオンが首をかしげ、「ってかさ、こんなに遺体がゴロゴロしてんのに、よくこんな施設残ってんな。もっとグチャグチャでもいいんじゃね?」と突っ込む。ミリアがタバコを咥えたまま、「確かに…なんか不気味だな。まあ、俺らの目的は遺物だろ?さっさと進もうぜ」と言う。
扉の解読には時間がかかりそうだと判断し、一行は会議室で一時休憩を取ることに。長テーブルを囲み、パーティで情報を整理する。「このダンジョン、敵が減ったと思ったら認証システムが出てきた…古代文明の防衛システムがまだ生きてるってことだろ」ガレンが腕を組みながら言う。シオンがテーブルに足を乗せ、「ゴブリンみたいな雑魚が住み着いてたのは序盤だけか。奥に行くほど守りが固くなるってわけだ」と分析する。
エルナが書類を手に持ち、「このダンジョン、魔力砲の制御施設だったみたい。さっき読んだ書類通り、隕石群で滅亡したってのが本当なら…ここは最後の砦だったのかもね」と推測する。シオンが首をかしげ、「でもさ、隕石群で文明が消失したってことは、魔力砲って残ってねえんじゃねえの?こんな施設が残ってるのに、肝心の兵器がないって変だろ」と突っ込む。エルナが頷き、「確かに…もしかしたら、魔力砲自体は別の場所にあったか、破壊されたのかもしれないわ。制御施設だけが残ったのかも…もっと調べないと」と呟く。ミリアがタバコの煙を吐き出し、「兵器だかなんだか知らねえけど、俺らの目的は遺物だろ?さっさと見つけて酒飲みたいね」とぶっきらぼうに言う。ガレンが笑いながら肩を叩き、「まあまあ、焦るなよ。エルナ、解読はあとどれくらいかかる?」
「もう少し…あと数時間あれば開けられるわ。少し休んで頭を整理しましょう」エルナが寝不足の顔で微笑む。一行はしばし休息を取り、ダンジョン深部への準備を整える。そこには、彼らの運命を変える存在――マキナが眠っていた。