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目の前で王太子殿下が侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡すイベントが発生しました ~婚約破棄の原因は聖女であるわたし?!~

作者: 幻世

「ダイナ、君との婚約を破棄する!!」

本日王立学院の卒業パーティーにて、わたしの目の前でヤール王太子殿下が婚約者であるダイナ侯爵令嬢に婚約破棄を言い渡した。

(あ! リアル『婚約破棄』いただきました!!)

わたしの中の腐女子がテンションを上げた。

(いや、それどころじゃないよ。 なんで親友であるダイナがヤール王太子殿下から婚約破棄を言い渡されてるの?)

わたしはテーブルにあるローストビーフを皿に盛るとバクバク食べながらヤールとダイナのやりとりを見守った。

「ヤール様、なぜわたくしとの婚約を破棄すると仰るのですか? この婚約は貴方様のお父上であらせられるイリフ国王陛下直々の申し出なのですよ。 それなのに・・・」

「黙れっ! ダイナが裏で何をしているか僕が知らないと思っていたのかっ!!」

「どういうことですの?」

「お前はある女性にいじめをしていたそうじゃないかっ!」

それからヤールはダイナの悪行を朗々と語る。

話を要約するとダイナが1人の女性をいじめていたということだ。

ヤールなりの気遣いなのだろう、いじめを受けている女性の名は伏せていた。

(ダイナが裏でそんなことを・・・いじめられていたその女性は可哀想に・・・)

わたしはテーブルにあるワインの入ったグラスを取るとぐびぐび飲む。

すべての悪行を言い終えたヤールに対してダイナは涙ながらに訴える。

「ヤール様! わたくしはいじめなどやっておりません!!」

「まだ白を切るというのかっ! これ以上の問答は無用だっ!!」

ヤールは自らの腰に差した剣に手をかけようとする。

(この場で刃傷沙汰(にんじょうざた)とか勘弁してほしいな・・・)

わたしはテーブルにあるローストチキンを手に取ると噛りついてガツガツ食べる。

しばらくの間静寂に包まれたが、堪えきれなくなったのかダイナの目から涙が流れる。

手で顔を隠すと走ってパーティー会場から出ていった。

(あーあ、女を泣かせるなんて酷い男だな)

わたしはテーブルにある葡萄を1房手に取ると果梗(かこう)から切り離して1粒口に入れてはもぐもぐ食べる。

断罪劇が終わるとヤールはキョロキョロと周りを見た。

しばらくして相手を見つけたのだろう、明るい顔になって歩き始める。

(ん? 気のせいかヤール王太子殿下がこっちに歩いてきているような・・・)

呑気に構えているとヤールがわたしの目の前で止まった。

「聖女ミラ、僕と結婚してほしい」

「・・・はぁ?」

突然の告白に持っていた葡萄を落とし、フリーズするわたしこと聖女ミラ。

(ナニイッテルノコノヒト)

呆気に取られているとヤールがわたしの手を取る。

「身を挺して国を守る貴女こそ僕の妃に相応しい」

「えっと・・・お断りいたします」

わたしはそっとヤールから手を離す。

「?! なぜだっ! 僕の君に対する愛は本物だっ! それをなぜっ?!」

「貴方みたいな男はきらぃ・・・んん、わたしは平民でヤール様は王太子殿下、あまりにも身分が違います」

ヤールに対してそれらしい回答をする。

(イケメンなんだけど、どうもこの世界の男性って苦手なんだよね・・・)




わたしは元はこの世界の人間ではない。

異世界からやって来た転生者である。

そんなわたしの前世は()()()・・・ではない、()()()だ。

わたしは世界最大級の同人イベントに参加しようと駅のホームでワクワクしながら電車を待っていたところ、同じイベント参加者と思われる人の荷物が偶然にも背中に当たって線路に落下。

駅に着いて減速しているとはいえ、到着した電車にはねられそのまま帰らぬ人に。

次に意識が戻った時、わたしは赤子だった。

状況を理解する前に突然脳に優しい女性の声が聞こえてくる。

『あなたは性根が腐っているからこの世界では聖女として立派に生きるのですよ』

女性は神様のようで、わたしに『真っ当に生きろ』というありがた迷惑なお告げと聖女の力を授けてくれたらしい。

こんな力(聖女の力)いらないって)

そこに神父みたいな男性がわたしを拾い上げる。

男性の言葉を聞くとどうやら私は孤児院の前に捨てられていたようだ。

とりあえず男性の庇護下に入ってやんちゃに育つわたし。

独り立ちできるようになったらさっさとここから抜け出す予定であった。

月日が流れ、そろそろ身を隠そうとしたある日、わたしに聖女の力があると神託が下った。

あの野郎(神様)、先手を打ってきやがった)

公衆の面前で無理矢理聖女の力を覚醒させられたわたしは泣く泣く国を守る聖女として働くことになった。

同時にイリフ国王陛下の計らいで、王侯貴族しか入れない王立学院に特例で入学することに。

(これ、絶対に神様が関与してるよね)

平民であるわたしは学院ではボッチだったが、そんなわたしに初めて声をかけてくれたのが侯爵令嬢であるダイナだ。

わたしたちは身分に関係なく友達になり、以降楽しい学院生活を送っていた。

このまま何事もなく卒業すると思っていたが、卒業後の今行われているパーティーで(ダイナには悪いが)腐女子(わたし)好みな展開が目の前で起こるとは想像していなかった。

婚約破棄イベントだけで終わればよかったけど、わたしに告白イベントがやってくるなんて聞いていない。

(これではまるでNTR(ねとり)だわっ!!)

悪役令嬢や婚約破棄ものをこよなく愛する腐女子(わたし)だが、この展開はいただけない。




わたしが思考に囚われているとヤールが声をかけてきた。

「ミラ、君をいじめていたダイナはもういない。 これからは僕が身を挺して守ってみせる」

ヤールの酔いしれている言葉を聞いて、わたしは驚いたあと内心で溜息を吐く。

(え? わたし、ダイナからいじめられてたの? 優しくされたことはあってもいじめられたことなんて1度もないよ。 あと、そういう臭い科白(セリフ)は在学中にいう言葉で、卒業した今は意味ないよ)

色々と突っ込みたいが、わたしは先にダイナがいじめをしていない事実を伝えることにした。

「わたし、別にダイナ侯爵令嬢からいじめを受けてないですよ」

「僕はダイナが君をいじめているところをこの目で見たんだ」

自信満々にいうヤール。

あまり聞きたくないが質問してみる。

「いじめってどんなことですか?」

「初めてダイナと会ったとき君は泣かされていただろ?」

「ああ、あれね。 あの時は誰も相手にしてくれなかったけどダイナ侯爵令嬢が優しく声をかけてくれたんですよね。 嬉しくてつい涙が出てしまいました」

「え? 嬉しくて?」

「はい。 そうですよ」

わたしはダイナとの初めての出会いを思い出す。

(わたしが平民だから貴族は遠巻きに見ているだけだったけど、ダイナだけが声をかけてきてくれたのよね)

ヤールは気を取り直して次のいじめのことを話す。

「で、では、君の教科書をダイナが取り上げて持っていっただろ?」

「教科書? ああ、わたしが教科書を忘れたので借りてそれを返した時ですか」

「きょ、教科書を借りた?」

「はい。 ダイナ侯爵令嬢も勉強に必要なのにわざわざわたしに貸してくれたんですよ」

教科書を忘れてどうしようと途方に暮れていたところにダイナが貸してくれたことを思い出す。

(あの授業は教科書がないとわからないから本当に助かったな)

雲行きが怪しくなってきたのかヤールの声に自信がなくなっていく。

「じゃ、じゃあ、階段でダイナが君を突き飛ばしたのは?」

「わたしが足を踏み外してダイナ侯爵令嬢が咄嗟に手を差し出したんですけど、間に合わなくてそのまま階段から転げ落ちたのは覚えてますよ」

「足を踏み外した?」

「はい。 そのあと、すぐに駆け降りてわたしのことを心配してくれましたよ」

ダイナと仲良く階段を下りているときに足元をしっかり見ていなかったことを思い出す。

(うっかり足を踏み外して転げ落ちた時は正直死ぬかと思ったよ)

すでに全身冷や汗まみれのヤール。

「そ、それなら、君が持っている宝石やアクセサリーをダイナが巻き上げたのは?」

「平民のわたしが宝石やアクセサリーのような高価な品を持っている訳ないじゃないですか。 今、身に着けているのは全部ダイナ侯爵令嬢からの借り物ですよ」

「・・・」

聖女としてどうしても貴族のお茶会や晩餐会などに出席せざるを得ない時があるのだが、衣装や宝石を持っていないことをダイナに相談するとわたしのために気前良く貸してくれたことを思い出す。

(国から給金は貰っているけど、宝石やアクセサリーはおろかドレスなんてとてもじゃないけど買えないわ)

それからもいくつかヤールがダイナのいじめについて話すが、わたしには何の実害もないことばかりだった。

わたしとヤールの会話のやり取りを聞いている者たちは次第に白い目でヤールを見る。

話せば話すほどわたしからのカウンターを受け続け、終わる頃にはヤールの精神力はすでに0でグロッキー状態だった。

「ヤール王太子殿下、話はそれだけですか? わたしからもお話しておきたいことがあります。 わたしはダイナ侯爵令嬢からいじめを受けたことなど1度もありません。 それにわたしにとってダイナ侯爵令嬢は大事な友達です。 たとえ王族でも私の友達を侮辱することは許しません。 ダイナ侯爵令嬢に謝ってください」

「・・・」

「沈黙は肯定と受け取ります。 それと今回の件は後日イリフ国王陛下に報告させていただきます」

「なっ?! そ、それだけはやめてくれっ!!」

わたしの言葉にヤールが慌てて止めに入る。

「そういう訳には参りません。 ダイナ侯爵令嬢だけでなくわたしにも迷惑を掛けているのですからね」

「た、頼むっ! それだけは・・・」

「どちらにしろ公衆の面前でこれだけの騒ぎを起こせばイリフ国王陛下の耳に入るのも時間の問題でしょう」

ヤールは力なくその場に崩れ落ち四つん這いになった。

(あ! リアル『orz』いただきました!!)

わたしの中の腐女子がテンションをまた上げた。

(・・・って、それどころじゃない!!)

それから会場内は騒然となり、有耶無耶のうちに卒業パーティーは終了した。




翌日───

朝早くにイリフ国王陛下からの使者がわたしのところにやってきて恭しく封書を差し出す。

わたしはそれを受け取るとその場で封を切って読んだ。

「なになに・・・ああ、やっぱりかぁ・・・」

そこには昨日行われた王立学院卒業パーティーの件について、至急王城へ来いと書かれていた。

わたしは急いで聖女の衣装に着替えると使者とともに王城へと向かう。

使者に案内されて応接室へと通されるとそこにはダイナ侯爵令嬢とその父親であり国最強の戦士であるヴェーズ・マクファー侯爵、それにこの国の第二王子であるウィリー王子殿下がいる。

ダイナは一晩中泣いていたのか顔に涙の跡が残っており、ヴェーズは憤怒の顔を隠そうとせず、ウィリーは重圧に耐えられないのか額から大量の汗が滴り落ちていた。

(なにこの混沌(カオス)な空間・・・)

そこにイリフ国王陛下とエリス王妃殿下、そして、今回の騒動の首謀者であり両頬をこれでもかと叩かれ河豚みたいに膨らんだ顔をしたヤール王太子殿下が入室してきた。

ヤールが現れた途端ヴェーズから怒りのオーラが立ち上っていくのがわかる。

あまりの覇気にヤールは蛇に睨まれた蛙のように動けなかった。

「皆の者、忙しい中よくぞ集まってくれた。 まずはヴェーズ、ダイナ嬢、我が息子ヤールについてだが国王として、親として謝罪する」

イリフとエリスがダイナとヴェーズに頭を下げる。

「イリフ国王陛下、如何に陛下の謝罪といえど、ヤール王太子殿下が我が愛娘ダイナにしたことを許すわけにはいかない!!」

激高したヴェーズの威圧を受けてイリフがたじろぐ。

(国最強の戦士は伊達ではないわね)

わたしが呑気なことを考えているとヴェーズが昨日のことについて触れてきた。

「ダイナから話は聞いているが今回の婚約破棄について詳しく聞かせてもらおうか」

あれ程の激高から一変冷徹な声色でヴェーズがイリフに事の発端について説明を求めた。

「う、うむ・・・それについてだが、ヤールはダイナ嬢が聖女ミラをいじめていたと思い込んでいたらしい」

「ダイナが聖女ミラ様を? 証拠はあるのですか?」

気圧されたのかイリフがオロオロする。

「せ、聖女ミラ、説明してもらえぬか?」

イリフから突然振られるわたし。

(え? そこでわたしに振りますか? そうですか・・・)

わたしは溜息を吐きながらもヴェーズに向き合う。

「お久しぶりでございます、マクファー侯爵閣下。 ミラでございます」

「おお、久しいな、聖女ミラ様」

「はい。 マクファー侯爵閣下のご息女であるダイナ侯爵令嬢にはいつもお世話になっております。 昨日(さくじつ)、王立学院で行われた卒業パーティーについてお話いたします」

それからわたしはヴェーズに昨日の出来事を話した。

ヤールがダイナに婚約破棄を言い渡したこと。

ダイナのいじめについて朗々と語り、それに対する弁明を許さず、ダイナがパーティー会場から泣いて出ていったこと。

ヤールがわたしに告白してきたこと。

ダイナの好意がヤールから見たらわたしに対するいじめに映ったこと。

話し終えると黙って聞いていたヴェーズは殺意のこもった目でヤールを見た。

「事情は把握した。 いくら王命により婚約したとはいえ、こんな屑(ヤール)我が愛娘(ダイナ)を嫁にやれんわ!!」

ヴェーズが言葉を飾らずに吐き捨てるようにいった。

(あ! リアル『お前なんぞに娘はやらん!』いただきました!!)

わたしの中の腐女子がテンションをまたまた上げた。

「ヴェ、ヴェーズ、そ、それは困る! 考え直してくれないか?」

「陛下、もし私と同じ立場だったら許容できるのか?」

「そ、それは・・・」

言い淀むイリフ。

(わたしがマクファー侯爵閣下の立場だったら絶対にノーと答えるな)

わたしは心の中でうんうんと頷いた。

それまで黙ってやりとりを見ていたダイナが口を開く。

「イリフ国王陛下、昨日(さくじつ)のヤール王太子殿下からの婚約破棄をお受けいたします」

「ダ、ダイナ嬢・・・」

「公の場で傷物にされたのです。 今更ヤール様との復縁など考えたくもありません」

「わかりました。 こちら(王家)の都合でヤールとの復縁を迫ることは今後いたしません」

ダイナの傷心を理解したエリスがヤールとの復縁をしないことを了承する。

「エ、エリス!」

「あなた、無理矢理復縁させてもヤールがダイナさんにした事は消すことはできません。 それにヴェーズ卿を敵に回すのですか?」

「うぐぅっ!」

エリスの言葉にイリフは意気消沈した。

「ヴェーズ卿、ダイナさん、ヤールにどのような処罰をお望みですか?」

「・・・わたくしはもう二度とヤール様のお姿を見たくはありません」

「私は愛娘(ダイナ)の意見を最大限尊重します」

「そうですか・・・わかりました。 あなた」

「致し方あるまい・・・ヤール、お前の王位継承権を剥奪し、国外追放とする」

イリフは実の息子であるヤールに対して苦渋の決断を言い渡す。

(あ! リアル『追放』いただきました!!)

わたしの中の腐女子がテンションをまたまたまた上げた。

「ち、父上! なぜ僕が追放処分を受けなければならないのですか!!」

イリフの決定にヤールが噛みつく。

「お前もすでに理解しているだろう・・・人が少なければ揉み消すこともできたが、あのような公の場ではそうはいくまい。 恨むなら自らの言動を恨むのだな」

「そ、そんなぁ・・・」

ヤールは父王(イリフ)母妃(エリス)から見放されその場で俯いた。

それから顔を上げるとわたしに話しかける。

「聖女ミラ! 君も一緒に来てくれ! 頼む!!」

「え? 嫌ですよ。 お断りいたします。 わたし、この国から離れたくないので」

「ミ、ミラ・・・」

わたしが拒否するとヤールは近づいてきた。

その動きはまるでゾンビを連想させる。

「何を言われてもわたしの考えは変わりません。 あと、昨日も言いましたがダイナ侯爵令嬢にちゃんと謝ってください」

わたしの鋭い視線を受けるとヤールは動きを止め、ダイナに向き直るとその場で土下座した。

「・・・ダイナ、すまなかった。 この通りだ」

「・・・ヤール様、できれば貴方様を支える伴侶になりたかった」

ヤールが顔を上げるとダイナは涙を流していた。

「ダイナ・・・」

「さようなら」

それだけいうとダイナはヤールに背を向ける。

イリフが目配せすると部屋にいる衛兵たちがヤールの両脇を抱えて部屋から出ていった。

それから事務的な話し合いが始まった。

まずはマクファー侯爵家に対する慰謝料について話し合う。

次にヤール王太子殿下の追放により、第二王子であるウィリー王子殿下が第一王子として繰り上がり王太子になる。

最後にわたしに対する謝罪と迷惑料、ついでに『これからも国のために身を()にして聖女のお勤め頑張ってね』というありがたくない労いの言葉をもらう。

すべてが終わるとわたしとダイナ、ヴェーズは応接室から退室した。


ヴェーズは仕事があるとその場から去り、わたしとダイナの2人きりになる。

「ダイナ、落ち込まないで。 きっと良い人が見つかるから。 だから笑って」

「ミラ・・・うん、そうね」

わたしの言葉でダイナが笑顔になる。

「やっぱりダイナには笑顔がとても似合うよ。 あ! そうそう、あとで借りた衣装や宝石を返すから」

「今回はミラにも迷惑をかけたし、あれはそのままあなたにあげるわ」

「わたしが持ってても『猫に小判』というか『豚に真珠』というか・・・まぁ、わたしが持ってても意味がないからやっぱり返すわ」

「? 言いたいことはわからないけど、返すっていうのはわかったわ」

ダイナは不思議そうな顔をするも返却に同意する。

(異世界の(ことわざ)なんて持ち出してもわかる訳ないか)

しばらく雑談してわたしとダイナは別れた。

「それにしても酷い目にあったな・・・ま、わたしの活躍で解決したから良かったかな」

『そうですね。 評価としては70点でしょうか』

わたしの頭の中に突然声が聞こえた。

(げっ! どこかの誰かさん(神様)がわたしのことを覗いていますよ。 覗きは犯罪ですよ。 警察に捕まりますよ。 って、いうかいい加減わたしを見るのやめてほしいよね。 プライバシー侵害だし、ごにょごにょができないじゃないですか・・・)

最後のほうは腐女子のこと(本音)を考えていた。

『今、(よこしま)なことを考えていましたね?』

(ソ、ソンナコトカンガエテナイヨ)

わたしは汗だくになりながら応える。

『最後のほうの言葉は聞かなかったことにしてあげましょう。 これからも聖女として精進しなさい』

それだけいうとわたしの頭の中に響く声が止んだ。




それから国は一時騒然となった。

ヤール王太子殿下の王位継承権剥奪からの国外へと追放されたこと。

第二王子であるウィリー王子殿下が第一王子として繰り上がり王太子となったこと。

ダイナ侯爵令嬢に新しい婚約者ができたこと。

ほかにも色々な出来事があったが時間の経過とともに落ち着いていった。




そして、わたしは今も神様の策謀によりやりたくもない聖女を無理矢理やらされていたとさ。


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