モノローグ
王子様を好きになってしまった。
若輩魔女の私が好きになっていい相手なんかじゃないのに……。
私はただ仕事をするだけ。貴方を恋い慕う令嬢たちから恋心を取り除いてく事が、王子様から依頼されたお仕事。
貴方は誰にでも優しいから、沢山の令嬢達が勘違いをしてしまったのよね。でも王子様、貴方の優しさは罪よ。
私もその優しさの被害者だから、彼女達の気持ちがよく分かるの。
優しく触れてくれる手が心地良い。
落ち着いた声に心が安らぐ。
貴方の表情一つ一つがどうしようもなく愛おしい。
初めて経験した恋というものは、とても暖かくて素敵なものだった。それと同時にあまりにも辛く、心が引きちぎれてしまいそうだと感じている。
私の所へ助けを求めてきたお客達は、みんなこんな感情を抱えていたのね。
きっと苦渋の決断だったのでしょう。
失いたくない愛情が確かにそこにあるの。
それでも、それを手放したいと願ってしまうほどに……、報われない気持ちを抱え続けることは難しい。
貴方を慕うこの感情を、私はどうすればいいのでしょうか。
どうかもう、私に優しくしないで下さい。
自分の感情を抜き出すのは、如何に魔女といえど難しく危険な行為だ。
私は仕事を投げ出したりはしたくない。
ならばこの仕事が終わった時、私は全てを忘れましょう。記憶ごと消してしまうのであれば、細かな技術は必要ないのだから。
涙が、止まらないわ。
モノローグを新たに挿入させてもらいました。




