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山ン本怪談百物語

謎の動画

作者: 山ン本

こちらは百物語五十九話になります。


山ン本怪談百物語↓


https://ncode.syosetu.com/s8993f/


感想やご意見もお待ちしております!

 「すみません…ちょっといいですか…」


 携帯電話ショップで働いていた時のお話です。


 「はい、なんでしょうか?」


 大人しそうな感じのおばあさんが、静かな店内へ申し訳なさそうに入ってきた。


 「ちょっと聞きたいことがあるんですよ。動画を消したいのですが、なかなか消えてくれなくて…」


 お年寄りのお客様だと、よくあるタイプの質問であった。


 「動画を消せる機能があるんですよ。消去するボタンがあるんですけど、やり方は…」


 おばあさんに動画の消し方を教えながら、消したい動画をボタン1つで消去する。


 「ありがとうございます!そうやるんですね!」


 おばあさんは何度も頭を下げながら、すぐに店を後にした。






 数日後…


 「あのぉ…すみませぇん…」


 あの時のおばあさんが、再び店へ訪れた。


 「んんっ?また何かお困りですか?」


 おばあさんは携帯電話を取り出すと、申し訳なさそうにこう言った。


 「消したい動画があるんですよ。何回消しても消えなくて…どうしたらいいでしょうか…?」


 話を聞いてみると、前回消したはずの動画が再び携帯電話に戻ってきたらしい。そんなことは普通ありえないのだが…


 「ちょっとその動画を見せてもらえませんか」


 色々と考えてみたが、一旦その動画を確認してみることにした。






 「なんですか、この動画…」






 おばあさんが見せてくれた動画は、なんとも不気味なものであった。


 動画はどういうわけかモノクロで、古い「葬式」を撮影した動画だった。






 それだけではない。






 全員が神妙な表情で葬式に参加する中、お坊さんの隣で踊っている女性がいるのだ。


 黒いワンピースを着た中年の女性が、無表情でバレエを踊っている。


 ほかの人たちはそれに気がついていないのか、あるいは無視をしているようで何事もなく葬式を続けている。






 「一応消しておきましたけど、あの動画って…」


 おばあさんは困った顔をすると、小声でこう答えた。


 「いつの間にか携帯電話の動画に入ってたんですよ」


 信じられない話だったが、おばあさんが嘘を言っているようには思えなかった。






 それから数日間、おばあさんは毎日店へ来るようになった。


 何度消してもあの動画が再び携帯電話の中で復活してしまうのだ。


 「これ壊れてるかもしれませんね。ちょっと修理会社へ依頼してみます」


 おばあさんから携帯電話を預かると、すぐに携帯電話の修理会社へ送ることにした。






 携帯電話を修理に出してから一週間後、修理された携帯電話が店に戻ってきた。


 「あっ!○○様のご自宅でしょうか?携帯電話ショップの〇〇と申します。携帯電話の修理が終わったので、近いうちにまたショップへ…えっ?」


 携帯電話が戻ってきたため、おばあさんの家へ電話してみると、信じられない事実を知ることになった。


 「あぁ…うちの〇〇ですか…実は数日前に亡くなりましてねぇ…」


 電話の相手は、おばあさんの娘さんであった。


 「携帯電話のことは母から聞いております。えぇ…はい…まさかこんなことになるなんて…数日前まで元気だったのに、どうしてあんなことをしたんでしょうね…」


 娘さんの言葉を聞いていると、おばあさんが病気や事故で亡くなったとは思えなかった。






 翌日、娘さんが携帯電話を取りにきたが、あの「動画」については一切話せなかった。


 これは予想であるが、あのおばあさんの携帯電話に入っていた動画は「呪いの動画」だったのかもしれない。


 何度消しても戻ってくる不気味な動画。


 あのおばあさんは、何か得体の知れないものによって、闇の中へ引きずり込まれてしまったのかもしれない。


 そしてあの動画を見てしまった人間も…






 これは「警告」だ。


 もし知らない動画が携帯やスマートフォンの中に保存されていても、絶対にそれを見てはいけない。


 この呪いは「伝染」する。


 私のスマートフォンにも、あの動画が保存されていたのだ。


 だから絶対に見るな。


 絶対に、絶対に…











 もう戻れなくなる。

どうも 作者の山ン本です。


今年も稲川淳二先生の怪談ナイトへ行ってきました。


本当に怖い話から少し切ない話まで…


やっぱり稲川先生はすごいです!


山ン本も頑張りますので、次回もまたよろしくお願いします!

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