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旧神




旧神(Elder God)とは、旧支配者と敵対する神々の陣営である。


ラヴクラフトは、宇宙的恐怖の心情からクトゥルフ神話の神々に善悪の概念を求めなかった。

しかしオーガスト・ダーレスは、人間が邪悪な神に立ち向かうにあたり、助力を与える善の神を求めた。

これが邪神ハンターと旧神という概念をクトゥルフ神話にもたらした。


邪神ハンターは、クトゥルフやニャルラトホテプのような人間に害をなす神々=邪神を討伐する人間を指す。

多くの場合、ラヴクラフトの作品では、人間は、邪神に一方的に打ちのめされてしまう。


リチャード・L・ティアニーは、クトゥルフ神話を「宇宙の幽霊屋敷」と表現した。

広大無辺の宇宙から庭の囲いを飛び越えるかのように見えない宇宙生物が人間の傍に忍び寄る。

人間は、邪神に怯え、破滅を迎えるのがクトゥルフ神話のお約束の流れである。


しかしラヴクラフト自身も人間側が勝利する作品を幾らか書き残している。

『ダニッチの怪』のヘンリー・アーミテッジ教授がそれである。

これが邪神ハンターの権原である。


後にダーレスの《永劫の探求》シリーズのラバン・シュリュズベリイ、ブライアン・ラムレイの《タイタス・クロウ・サーガ》のタイタス・クロウが知られる。

やや変則的だがロバート・E・ハワードの《英雄コナン》シリーズのコナンも怪物を退治している。

(上記の三人は、禁断の知識を持った博士でコナンは、仲間の魔法使いの助力を得ているだけ)


余談だが《ウィアード・テイルズ》編集長ファーンズワースは、ラヴクラフトに『ダニッチの怪』のような分かり易い物語を、また書いて欲しいと頼んだと言われている。

パルプ雑誌は、一文字いくらという報酬でやっていたので文字数が多いほど、金額が上がる。

それに長編になれば号を跨いで連載する必要もあり、編集部が容易に肯首しないのも道理である。


そんな中、『ダニッチの怪』は、長編だったにも関わらず快諾され、ラヴクラフトの生涯で最も高額の報酬が支払われたとされている。




ダーレスは、明確に旧神と呼べるのは、ノーデンスのみであるとした。

ノーデンスは、ラヴクラフトの『未知なるカダスを夢に求めて』にてニャルラトホテプに抵抗した神である。

ダーレスは、ノーデンスら旧神によってアザトートら外なる神々は、宇宙の外側に封印されたという設定を作り上げた。


また風の神々を従えるハスター陣営と水の神々を従えるクトゥルフ陣営という対立構造を作り上げる。

さらに炎の神クトゥグアと地の属性ニャルラトホテプが対立構造にある。




ブライアン・ラムレイは、旧神のリーダーは、クタニドであるとした。

クタニドは、惑星エリシアに住むクトゥルフの兄弟であり、瓜二つの姿だが慈悲深く寛容な善の神である。




ノーデンスは、ケルト神話のノンドスがモチーフである。

現在、旧神は、この設定を受け、実際に信仰された神々が採用されることが多い。

エジプト神話のバステト、ギリシア神話のヒュプノスなどがこれに当て嵌まる。


この理由から旧神は、共通してクトゥルフやヨグ=ソトースと違い人間の姿をしている。

(例外としてクタニド、猫の頭を持つバステトなどがいるものの)


しかしクトゥルフ神話は、作品ごとに設定が矛盾する。

このためノーデンスが人間に害を及ぼす作品やバステトがニャルラトホテプやクトゥルフの眷属になっている作品もある。




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