12,さようなら
「何で……」
私が動揺していると、喜代が私に近づいてきた。
「沙希……」
「喜代……この前は怒鳴ったりしてごめんなさい」
俯きながら、私は言った。
「うんん、いいのそんなこと。優に聞いたんだけど、私こそごめっ」
私は喜代が言葉を言い終わる前に、それを止めた。
「謝らないで!私、喜代だったら譲れるから」
とっさに出た言葉に自分は驚いた。
「ありがとう。けどね、優はあなたといる方が楽しそうに見えた……」
「そんなことない!2人を見てていつも思ってたけど……優を支えていたのは喜代だよ。
だから、これからも支えてあげて?」
これは、自分の心から出た本当に素直な言葉だった。
「ありがとう。また、遊びに来てね」
「もちろん!」
私達は、出会った頃のように微笑み合った。
そして私は喜代に背中を押され、優のもとへ歩み寄った。
「沙希……ありがとな」
「何言ってるの、それは私が言うこと!」
優と話していると、いろんな気持ちがこみ上げてきて泣きそうになった。
「本当だ。こんな俺を好きになってくれてありがとな」
「……うん。優も沢山写真撮って頑張ってね!」
私は溢れそうな涙を堪えて、笑顔で言った。
優も目に涙をためながらまた会おうなと言ってくれた。
私はそれだけで、胸がいっぱいになった。
「じゃあ、2人とも!また会おうね」
私は笑顔で2人に別れを告げ、その場を立ち去った。
2人の姿が見えなくなった頃、私の頬には涙がこぼれ落ちていた。
そして、小さくつぶやいた。
「……大好きでした」




