9 手作りと動機
不純で何が悪い(´>∀<`)ゝ(ただし美形に限るw)
「先生……昨日も思ったんですけど、本当に料理上手なんですね」
エッヘンと胸を張る先生。ドヤ顔が可愛い人って反則だよねと思っていると先生は言った。
「これでも一通りの花嫁修業はしたからねぇ♪」
「それは凄い……これだけ多芸なら、教職以外でも色々道がありそうですけど、どうして教師になったんですか?」
「え、それはその……」
何やらもじもじする先生。
「あ、言いづらかったら別に……」
「うーん、笑わない?」
「え、あ、はい」
「なら、西島くんにだけ教えてあげるね」
そう微笑んでから先生は懐かしむような表情で言った。
「私って、年下好きなんだよね」
「あ、やっぱりいいです」
「でもね、年下って言ってももちろん好みがあるんだよ」
ダメだ。止まる様子がない。
「だからね、教師になって高校生で好みの男の子見つけたら結婚しようと思って教師になったの」
「あの、そんな不純な動機で教職ってやっていいんですか?」
「まあ、ロリコンが小学校の教師になれるくらいには人手不足だしねぇ」
グウの音もでない正論だ。どんな仕事も人手不足なのだろう。バイト先でもそうだし。
「まあ、その目標は今叶っちゃってるんだけどね」
くすりと笑いながらそんなことを言う先生……んん?
さっきまでの先生の話……そして、今の言葉。さらに、俺がこうして手作りのお弁当まで食べさせて貰っている事実……なんか、物凄く勘違いしそうになるなぁ。はっはー。
「ねぇ、西島くん。私みたいな女に口説かれても迷惑かな?」
俺のことじゃないとわかっていても勘違いしそうになるなぁ。……うん、だんだん自分の首が閉まるのが自覚出来てるよちくしょー。
「いえ、先生に口説かれて嫌な男はいませんよ」
「そっかー」
にぱっと笑う先生。本当に可愛いなぁ、ちくしょー。でも、待て落ち着け。まだ、俺だと決まったわけじゃない。ここで自爆したらこれから先卒業まで俺だけ気まずくなるのは避けたいし、クールにいこうじゃないか。
「じゃあ、これからもガンガンいくね♪」
「……はい。頑張ってください」
あぁ、もう……本当に笑顔が反則的だよなぁ。この笑顔を向けられる男が心底羨ましいよ……なんか答えが出始めてるけど、知らない。
そりゃ、先生みたいな人から好かれたらこの上なく幸せだが……天が俺に課した試練のような気もして迂闊には信じられない。チキンな性格も否定はしないが……俺から家族を奪ったのに今更与えてくれるのかは本気で疑問なのだ。
だから勘違いにさせとこうと思ったが……そう上手くはいかないものだ。