4 勧誘とお誘い
部活という名の…
「ねぇ、西島くん。西島くんは彼女とかいる?」
その質問に食べていた卵焼きを思わず吹き出しそうになりつつも、なんとか抑える。
え、これはどういう意味なんだろう…先生の手作りだというお弁当は非常に美味しく、また、久しぶりに自分で作る以外に手料理を食べたので感動してたところにこの質問…まあ、結論からいえばいないが。
「えっと、いませんが_」
「そっか。確か部活も入ってなかったよね?アルバイトの申請は出てたと思うけど、何をしてるのかな?」
「いくつかの店を掛け持ちしてます。メインは小さな喫茶店ですが」
「なるほど」
うーんと、考える先生。あ、これは別に甘い話とかではないなと本能的に感じ取る。まあ、こんなに美人な人が俺に好意を抱くわけないしね。
「あのね、西島くん。もし良ければ写真部入らない?」
「写真部ですか?うちの学校にありましたっけ?」
全く記憶にないのでそう聞くと先生は頷いて言った。
「今は部員数ゼロで休部状態だけど、一応あるんだ。顧問は私なんだけど…時間あればどうかな?」
「えっと、光栄ですが、何故俺なんですか?」
「それは、えっと…」
何やらもじもじする先生。この反応はまさか…っていやいや、ないない。先生めっちゃ可愛いけど、俺は勘違いはしない。多分数少ない部活入ってない生徒だからだろう。…うん、言ってて悲しくなるけど気のせい気のせい。
「あのね、私、西島くんなら写真好きになってくれると思ったの。あと…出来ればもっと、君と仲良くしたいからかな」
えへへ、とそう笑う先生。我ながらチョロいけど、その笑みに不覚にもトキメイてしまい、後先考えずに頷いていた。
「えっと、初心者の自分で良ければ…」
「本当に?ありがとう♪」
なんだか、俺が今まで抱いていたイメージよりもずっと可愛らしい人なんだなぁと思った。
「じゃあ、今日の放課後からいいかな?」
「あ、はい」
「授業終わったら、暗室…じゃ、わからないか。えっと、西側校舎の階段下の付近のスペースで待っててね」
「わかりました」
暗室って確かフィルムとか現像する部屋だよね?もしかしてめっちゃ本格的にやるのだろうか…まあ、幸い今日はバイトはオフだし、時間的には問題ないけど、機材とか全く持ってないけど大丈夫かな?
カメラなんてインスタントカメラとか、ポラロイドカメラくらいしか使ったことない…まあ、今はチェキとか言うんだっけか?デジカメすら持ってないのだが…まあ、先生が物凄く楽しそうだしいいかなと思うのだった。