23 ご報告
報告です
「ふぅ……とりあえず終わりですかね?」
荷物も一通り運び終わり、開封も先生がかなりスピーディーに終わらせたからそう聞くと先生は抱きついてきて言った。
「うん。ありがとうヒロくーん」
「あの……いちいち抱きつくのやめません?」
「いやー」
なんだろう……この人は俺を抱き枕と勘違いしてるんじゃなかろうか?こんな抱き心地の悪い抱き枕そうそうないだろうに。
「あ、そうだ……1つやり忘れあったよ」
「やり忘れ?」
「うん」
そう言ってから向かったのはお祖母ちゃんの仏壇。先生は仏壇に手を合わせると言った。
「お祖母様。お孫さんは私が絶対に幸せにしますので……よろしくお願いします」
そんな風に口にしてからにぱっと笑って言った。
「あと、曾孫の顔が見れるのも近いのでよろしくです」
「最後のなければ綺麗だったのに何故……」
「え?だって、ヒロくん可愛くてカッコイイし私が襲わないわけないじゃん」
「さらっと言わんでください」
照れる前に身の危険を感じてしまう。まあ、別に俺をどうこうしても何も問題はないけどさ……
「ヒロくんヒロくん」
「なんですか?」
「初めてはここでしようか」
「いや、真顔で何言ってるんですか」
祖母の仏壇の前で初めてってどんな罰ゲーム?
「だってさぁ……」
「だってじゃないですってば」
「むー、じゃあヒロくんは海の見えるレストランで豪華なディーナーを食べてからムードを作って食べなきゃダメ?」
「いや、そんな面倒な手順は必要ないですが……というか、もう少し待てませんか?」
「むりー」
「さいですか……」
求めてくれるのは本当に嬉しいけど、こんなに求められると悩ましいものだとは思わなかった。別にそれに応えてもいいんだけど……せめてもう少し待てないだろうか?心の準備的に。
「あ、それとお祖母様……ヒロくんは私が絶対守るのでご安心を」
……そういうことはサラリと言えるのは本当に凄いと思う。男としては情けないけど、嬉しくも感じる。俺はため息混じりに隣に並ぶとお祖母ちゃんに報告することにした。
「お祖母ちゃん。俺、好きな人が出来ました。この人と幸せになるので……見守っていてください」
「ヒロくん……大好き!」
「ちょっ……仏壇の前ではやめてください」
そうしていつものように先生に抱きつかれる俺だが……なんとなく仏壇のお祖母ちゃんが微笑んだような気がした。ホラー的な意味じゃないからね?いい意味での微笑みというか……ありがとう的なやつだよ。そんな風にして報告するのだった。