20 バイトのお迎え
お迎え
「ヒロくんやっほー!」
めちゃくちゃハイテンションで店に入ってきた先生。終わる時間丁度に迎えにくるとは思わなくて驚きつつも俺はため息混じりに言った。
「梨沙さん、流石に外では控えてください。誰が聞いてるかわかりませんから……って、聞いてます?」
「ヒロくーん。すりすり〜」
抱きついてきて俺にすりすりする先生。その様子に苦笑していると、後ろから愉快な笑い声が聞こえてきた。そう、なんだかんだで居座ってた達也だ。
「あれ?君は確か……」
「ども、先生。柴田達也っす。ヒロくんの親友っすよ」
「ふーん、そっか。あ、ところでヒロくん。もうバイト終わりだよね?」
「ええ。まあ……」
「じゃあ、待ってるから早く来てね♪」
そう笑ってから出ていくのを見送るとくつくつと笑う達也の姿が。
「ここまであからさまだと清々しいな」
「……まあ、俺も少しびっくりしたけどね」
「とか言って嬉しいんだろ?」
否定はしないさ。
「しっかし、あの相沢ちゃんをここまで惚れさせたお前には年上キラーの称号を譲り渡そう」
「いらん。というか、お前は熟女キラーだろ」
「否定はしないが、俺の守備範囲は死にかけの婆さんまでだぜ」
キリッと言うけど……範囲広すぎて怖いわ。どんだけ年寄り好きなんだよ。
「ま、あの様子だとバレることはないかもな」
「そうかな?」
「普段の相沢ちゃん知ってるだろ?あの生真面目と今のデレデレは間違いなくわからないだろうな」
確かに先生は学校ではもっとこう……真面目というか生真面目って
感じがしたような気がする。いや、つい最近のことなのに最近の先生が濃すぎて忘れかけてるのだ。
「でも、お前が浮気したら間違いなく相手を殺しそうだよな」
「うん。サラッと怖いこと言うなよ」
それは俺も感じるけどさ……なんか、先生俺を責めたりはしないけど、裏で相手を潰しそうな予感はする。まあ、浮気なんて絶対しないけどさ。
「とりあえずお前達のやり取り見れたし俺もそろそろ帰るわ」
「まあ、俺もそろそろ上がるとするけど……本当に今朝いたのは偶然なんだよね?」
「ん?まあな。昨晩ハッスルしたから気分転換したかったんだよ」
熟女とハッスルするのは凄すぎてびっくりだけどもツッコムつもりはない。というか、ツッコミどころ満載だからキリがないのだ。
「ま、何か困ったら言えよ。親友として出来ることはしてやるさ」
そう言いながら出ていった達也。まあ、あいつなりに心配してくれてるのがわかるが……とりあえず、あいつ以外に絶対バレないようにしないとね。