19 寝不足の訳
久しぶりの友人
「ふぁー………」
「なんか眠そうだな親友」
そう言いながらコーヒーを飲む親友の達也。喫茶店のバイトでたまにこうして会うのだが……今1番会いたくなかったりする。先生との関係を話しても多分広めたりはしないけど……寝取られる可能性は高そうだからだ。
「少しね。そういえば今日は珍しいね朝からなんて」
「まあな。さっきまでマダムと遊んでたんだよ」
「いつも通りで何よりだよ」
本当にコイツと話してると昨日の出来事が嘘みたいに感じるけど……今朝抱きついてきた先生の柔らかさと一緒に食べた朝ごはんで現実に戻される。
「なあ、その寝不足とこないだからのお前の不審な態度何か関係あるのか?」
「ないよ」
「そうか。ようやく彼女が出来たんだな」
違うと言ってるのになんで、そこまで憶測を広げられるのだろうか?まあ、どうせバレるだろうが、なるべく伏せておきないなぁ……
「それとは別に相沢ちゃんと車に乗ってたお前をホテルの前で見かけんだが……これも無関係と言いきれるか?」
「……そういうことにしといて」
「ん、了解。一応言っとくが親友から彼女寝取ることはしないから余計な心配はするなよ」
くそ……何故イケメンとはこうまで鋭いのか。本当に怖い生き物だ。
「しかしそうか……そうなるとある意味お前の家は立地的にいいかもしれないな。こっち方面の学生少ないし」
「まあ、そうだね。バレるリスクは低い……って、同棲前提の話してる?」
「というか、もう住んでるんだろ?」
本当にどこまで知ってるのやらとため息をつくとニヤリと笑って達也は言った。
「ブラフだったが正解だったか」
「そう思うならご自由に」
「おう。それじゃそうする。表向きは二次嫁にぞっこんなキモヲタってことでOKだな?」
「事実でもちょっと黙って欲しいかな」
自覚あるからこそ辛いのだ。
「でも、別に相沢ちゃん二次に関して別に何も言わんでしょ?」
「……お前に貰ったフィギュアが燃えるゴミに入ってたのはカウントしない方向でOK?」
まあ、元々要らないからいいんだけど……先生の独占欲の一端を見た気がする。
「それも愛ゆえってな。まあ、でも俺だったら勝手に人の物捨てたらマダム以外は細切れにするけどな」
「マダムも細切れにしなよ。なんなら薄切りベーコンにしなよ」
「ベーコン美味しいだろ?それよりお前に彼女出来たの聞いて泣いて喜んでる店長止めて来なくていいのか?」
そう言われて俺は昨日は別に普通だったはずの店長を宥めることに専念した。はぁ……本当に頑張って隠さねば。