12 先生の部屋
お部屋へ
「ここだよ。ちょっと待っててね」
そう言ってから小さなアパートの部屋を開ける先生。女性の部屋に入るのなんて初めてでドキドキしていると、先生は言った。
「あ、下着とかの場所教えた方がいいかな?」
「……あの、生徒で遊ばないでください」
「ありゃ、気になるかと思ったんだけど……好み聞いて今度参考にしたいなぁと思ったんだけどどうかな?」
うん、何故そうなったのかは疑問だが、少しだけ緊張がとけた。こんな方法なのはちょっと複雑だけど。というか、参考にするも何も女性の下着なんて詳しくないしわからないとしか言いようがないのだが……って、真面目に受け取るな俺。
先生の部屋は普通の1Kの間取りの部屋で、可愛らしい内装にプラスして綺麗に整理されていたので流石だと思った。個人的にはもっと生活感溢れる部屋かと思っていたけど、そういうギャップはなさそうだ。
「まあまあ、西島くん座って座って」
「はぁ……あの、そろそろ俺を連れてきた理由説明願えますか?」
「ん?」
キョトンとする先生。え?なにその反応。用があったから呼んだんじゃ……
「西島くんと一緒にいたいなぁと思ったからだけど……ダメかな?」
あまりにも当たり前のようにそう言われてしまって俺は反応に困る。やっぱり天然なのだろうか?でも、そうじゃなかったら……いやいや、有り得ないって。でもさ、ここまで色々絡んでくるとどうしても勘違いしたくなるよね。思春期の良くないところだ。
「あ、一応ね、要件もあるんだ」
「そ、そうでしたか」
ホッとしつつちょっと残念に思うが……いやいや、残念って、俺も変な期待はよせばいいのに……
「実はね、最近隣の部屋から変な音がよく聞こえるの」
「変な音ですか?」
「うん。別に壁はそこまで厚くないから不思議じゃないかもだけど……あのね、隣は誰もいないはずなの」
なんだそのホラーみたいな話。
「それで、西島くんに相談なんだけど……」
「除霊の真似事か、探偵の真似事は出来ませんよ?」
「うん、わかってる。だからね引っ越そうかと思ってるの」
「えっと、それと俺に何の関係が……あ、もしかして引っ越しの手伝いですか?」
ひょっとして荷物の整理とかの手伝いかな?男手が欲しいとか。それなら納得だけど……しかし、先生はそれに首を横にふってから微笑んで言った。
「もっと別の要件なの」
「別?」
他に何があるのか全く想像つかないが……そんな俺の反応を見ながら先生は言った。
「あのね、西島くんの家に住まわせて貰えないかな?」