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ミラリーナスーク②

 妙な違和感を覚えて、ソーマは目覚めた。

 ぼんやりとした薄明かりが射す中、隣にいる筈のキラがいないことに気付く。ぐるりと周囲に視線を巡らせると、ベッドの隅でしょんぼりと肩を落として腰掛けている彼女が目に入った。


 「…………キラ。」


 応答は無い。


 「……キラ、どうしたの。」


 「え……?」


 彼女は驚いたようにソーマを振り返った。彼の気配に全く気付いていなかったようだ。目が合うとキラはまじまじとソーマを見つめて、やがて泣きそうな表情になり、慌てて目を伏せた。


 「どうした?」


 「うん……。」


 「おいで……。」


 腕を伸ばすと、キラは素直に彼の隣に潜り込んだ。


 「寂しくなっちゃった?」


 ソーマは、薄明かりの中でも爛々と輝くキラの髪を、何度も撫でた。


 「俺も……寂しい。皆いなくなってしまった……。」


 彼がそう呟くと、キラは回した腕にぎゅっと力を込めた。やがて、彼の胸から顔を引き剥がし、涙を堪えた表情で彼の眼を覗き込んだ。湖のように蒼い瞳が揺れている。キラの顔は一瞬歪み、唇を震わせながら思い切ったように口を開いた。


 「ソーマ……。本当に、ごめんなさい。」


 尋常では無い彼女の眼差しに、ソーマははっと息を呑んだ。彼にとって最も恐れていた予感が胸を過ぎる。


 「…………嘘だろ?」


 声が震える。キラは静かに首を振った。


 「嘘だよね……?キラ、嘘だと言って……!」


 「…………ごめんなさい。」


 キラの瞳から涙が零れ落ちた。


 「ごめん……ごめんね、ソーマ。私、ほくろが点滅しているの。」

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