<20>テストのあとで5
画面に映っていたのは、ヤホーニュースのトップページ。
『現代の冒険者始動! 国の方針に賛否の声』
そんな文字が踊っていた。
日本独自の技術が公となり、高校生が主体になって世界にアピールを始めた。
いずれは日本のエンターテインメントを背負うと共に、財政の助けになるだろう。
そんな内容の記事だった。
入学式の写真が大きく掲載され、スーツとサングラスを身につけた俺の姿も映っている。
「予想以上に盛り上がってないか?」
「いやいや、序の口でしょーよ。それに、ほれ、こっちの方がやばいぜ?」
将吾が指差した先にあったのは、『冒険者チャンネル♪』と書かれたリンク文字。
指先が触れて画面が切り替わり、アップされた動画の一覧が見えてきた。
『1年2組 入学祝のテスト 美少女とイケメン vs ティラノサウルス』
そんなタイトルが俺の意識をひきつける。
「俺らのやつ。すげー人気みたいだぜ?」
「人気?」
将吾の言葉通り、閲覧数ランキングでは1組と3組を抑えて、堂々の1位だった。
閲覧の回数も、ほかとは20倍近い独走状態だ。
将吾の指先が文字にふれ、軽快な音楽が流れ出す。
冒険者@TVのロゴに続いて映し出されたのは、宇堂先生が投げたビー玉のアップ。
『始まりのチャイムだ』
先生の渋い声と同時に、視聴者からの書き込みも画面に流れていく。
(待ってました)
(おっ、ホントにかわいい子ばっかり!!)
(美少女ペロペロ)
(イケメンは帰れwww)
どうやら男性の視聴者が多いらしい。
コメントの内容については、全面的に同意しかない。
『離れろ!』
『絶対やばいやつだぞ!』
『なによ、これ……』
(ティラノキター゜+.ヽ(≧▽≦)ノ.+゜)
(涙目のJK! 惚れるーーーー! )
化物の迫力やクラスメイトたちの容姿の良さが、動画に良い効果を与えている。
やはりイケメンや美少女は、何をしても得らしい。
だが、そんな和気あいあいとしたコメントたちも、化物が動き出すと様子が変わり始めた。
(イスが食われた……?)
(みんな、マジ泣きじゃね?)
(CG? リアル過ぎるぞ!?)
コメント欄に、小さな疑問が増え始める。
視聴者の混乱が透けて見える。
そんな混沌とした場所に、『日本独自の技術を高校生たちがアピールする』というニュースの言葉が、絡みつく。
(この化物、もしかしてホンモノなんじゃ……!?)
(恐竜を復活させた!?)
疑問が半分、戸惑いが半分。
そんな中で、俺すら知らないコメントが書き込まれていく。
(台本もないんじゃね? 1組はみんな食われたぜ?)
(3組も全滅)
(は? 死んだってこと?)
(テストが終わったら、みんなビー玉の中から出てきた)
どうやら他のクラスはそんな結果になっていたらしい。