壊れた日常
昼寝の間、妙な夢を見た気がする。夢の内容は
あまりよくわからなかったが良い夢でないこと
だけはわかった。かすかに覚えているのは何十人
かの人たちに追いかけられていることだけ
だった。起きたら俺の大好物のラッキーターンを
食べたいだけ食べた。俺はラッキーターンの粉が
大好きで粉だけ残して調味料としてどんな
料理にも入れるのだ。これはただただうまい。
俺は外出時にもラッキーターンの粉を持ち歩いて
いる。変食家だと思われても構わない。
そうして何時間か仕事に悪戦苦闘していると
日が暮れた。俺は夕食をコンビニに買いに
行った。すると、歩いている途中警察官に
止められた。「君、ちょっといいかな?」
「名前、年齢、仕事を教えてもらいたいん
だけど。」
おそらく、仕事中の格好で全身黒ジャージ
なのがいけなかったのだろう。俺は仕方なく
応答した。暁 豚太、26歳、小説家です。
「わかった。ありがとう。」
これでおしまい。そう思った時だった。
石に引っかかった俺はバックに入っていた
ラッキーターンの粉をばらまいてしまった。
警察官がそれに気づいて言った。
「これはなんだ!?」 まさか、ラッキーターンの
粉とはいえず何も言い出せないでいると
「君、署まで同行願おうか」と言われ
連れていかれた。
その時俺は意外に冷静であった。何故ならば
持っているのはラッキーターンの粉が陽性反応
になるはずがないからだ。
警察署に着いてすぐに麻薬の検査が行われた。
「陽性だったらばこの綿棒が水色に光るから。」
と警察官に説明された。
次の瞬間、俺は絶望した。光るはずのない
物が光っていた。「これは陽性だね。」
「違法薬物所持の罪で逮捕する。」
「嘘だーー」俺は必死に弁明したが虚しく
手錠をかけられて捕まった。