プロローグ
練習帰りに本屋に寄っていた大夢は、
周囲の見る目が恥ずかしくなり、
そそくさと本屋から出たその時だった。
「ひろくん、久しぶりー!」
関口莉香子の声だった。
中学時代からよく知る仲である。
「あれ?誰かと思えば関口さん・・・」
「もー、よそよそしいのは勘弁してよ!」
「ごめんごめん。」
「謝らなくていいよ・・・。そうだ、メガネ貸してあげる、有名になってから色々大変でしょ?」
「あっ、ありがとう。悪いなぁ、何かおごってやるよ。」
「それじゃお言葉に甘えさせていただきますわ♪」
そこで2人は駅近くの喫茶店でバスの時間まで話し込んだ。
「こうして話すのも久しぶりだな、時間、大丈夫か?」
「いいのよ、どうせ家にいても居心地悪いもん・・・」
「莉香子も大変だよな、あの家柄故に学歴重視。それじゃあ姉と差別されるのも無理ないよ。」
「もうね、高校卒業したら家を出ていって働きたいよ。」
「うん、それがいいと思う。色々大変なこともあるだろうが、応援するよ。部活はどうだい?」
「あっ、それも言おうと思ってた!私、スタメンに抜擢されたの!すごいでしょ!それでさ、」
しばらく莉香子の長話は続いた。
たまにジョークも交えながらその度に大夢は笑っていた。
「でねー」
「も、もうダメ、やめてくれ、腹痛い・・・」
大夢は腹筋崩壊していた。
「ねーねー、ひろくん、バスの時間過ぎたらどうするー?あそこの(ry」
「もうやめてくれ」
涙目になりながら大笑いする大夢がなんとなく見苦しく思えてきた。