表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/124

【第31話】いろいろな想い

 武装警察の追っ手をやっとの思いで逃れ、晴海海岸駅にまでやってきた朝霧達は、ホームから海に浮かぶ夕焼けを見ていた。

 さきほどまでの死闘などなかったように思わせるそれは、とても綺麗なもので、自然の壮大さを実感させてくれるものだ。

 ちなみにヴィシャップさんやアデスさんは武装警察が来たところから空へと飛び立ち姿をくらましたのは言うまでもない。


「ここまでの屈辱は初めてだ……」


 まだ体の自由が利かない海龍が、朝霧の腕のなかでふてぶてしく呟く。

 朝霧は、今まで殺意しか感じられなかったことや、武装警察から必死に逃げていたことから気がつかなかったが、海龍の年齢は、見た目から20代くらいで青髪のショートヘア、小顔な可愛らしい女の子だということに気がつく。

 そのため体を抱えている朝霧は、海龍の太ももを持ちなおすたびにドキドキしてしまう。

 女子との体験など皆無(結月との触れ合いはノーカン)な朝霧にとって、これほどの刺激はネットのエロ漫画では得られないものがあると感じた。


「と、とにかく電車に乗れるまで我慢しろよ」


 話すとき鼓動が速まってることがバレないように朝霧は、慎重に喋る。

 が、横で朝霧を観察してた女子三人衆は朝霧のわずかな言葉の発音の違いを見逃さなかった。


 ──はやてったらあんな女に揺さぶられて……。

 ──やっぱり、こんな幼女体型なんか好みじゃないって言いたいわけ!?

 ──こんなことなら私もわざと怪我して朝霧君に抱いてもらいたかった。


 それぞれの思いが交錯するなか、電車は定刻通りにホームに滑り込んでくる。

 行き先表示板には『第二九都市『村山むらやま行き』と表示されている。

 余談だが、始発駅から終着駅まで五百キロメートルある。どういうことかと言うと、この時代ではリニアモーターカーが在来線化しているのだ。

 ちなみに昔の新幹線は、現在真空チューブ列車へと変貌しており、一度リニアで加速させると時速千キロメートルで走行するシステムになっている。

 まぁ何はともあれ海龍を朝霧の隣に座らせる。


「体痛くねーか?」

「……構うな」


 朝霧は、なにか怒らせちゃったかな? と心配する。が、一方の海龍は怒ってなどいなかった。むしろ逆だ。


 ──なんでここまで優しくしてくるのだろう。


 そんな疑問で頭がいっぱいだった。今は、ともかくついさきほどまで敵であった者にここまで優しくする意図が分からなかった。

 これが強さというものなのか?

 そんなことを考えたところで意識がとぶ。戦闘の疲れが一気に出て、深い睡眠に落ちたのだ。

 朝霧も能力をむちゃくちゃに使ったことから深い眠りに就く。

 電車が発車するまでに、朝霧はもちろんファン達も就寝していった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ