「なな」玉ゴロゴロ感情モヤモヤ
今回はラッキーセブン!あと文章が大分落ちた。
◇1
油が塗られてしばらく経過したようなレールの上をボウリング玉が転がる。速度に従い、一直線に横に広がるピン達の方へ向かう。私の思いもあんだけ一直線なら楽なんだろうなぁと思いながら、その光景を眺めていた。
「おっ?おっ?ストライクか? ・・・・っしゃー!」
「おめでとう」
見事ストライクを取った鴨がはしゃぎながら戻って来る。私も席から立ち上がり両手の平をパチンッと合わせる。「ふぃー久々だと楽しいー」鴨が缶コーラの縁に唇を当て喉に流し込む。
「鴨上手いね」
「んー? あぁいやいや」
「そんな事・・あるかなぁーエヘヘ」と頬を緩めて右手を左右に動かす鴨を見て、「可愛いなぁ」と無意識に声が漏れた。私は布巾で玉を擦り、穴に指を挿入する。
胸元まで持ち上げてレールの前まで進む。一番真ん中にあるピンと対峙して、玉を下へ投げる。レールの上を滑る様に軽々しく進み、奇麗にピンをすべて飛ばした。体を捻り親指を立てながら口角を上げて鴨に放つ。
「ボウリングの王子様、とでも言いたまえ鴨君」
「お前は玉の摩擦でレールを燃やしたり、残像で分身した様に見せる事が可能なのかっ!?」
私は見下す様に鴨を見つめ、「鴨の番だよ」と親指を背後に向ける。鴨は「わかっているさ。覚悟はいいか?俺は出来てる!」と玉を持ちながら呟いていた。ホント少年漫画好きだな鴨って。
◇2
ボウリングが終わり、私と鴨は喫茶店にいた。「ボウリング楽しかったね」と鴨がアイスカフェオレを両手で持ちながら満足気に言う。私が「まぁ鴨が勝ったからね」と嫌味まじりに返すと「ごめんなさいねボウリングの王子様」と馬鹿にされた。むぅ。
カウンターで二人並んで話しているという事に私は何故か高揚した。前を向くとガラス越しに景色が見渡す事が出来、痩せ型で黒髪長髪の男が走っていた。私と鴨は「誰かに追われてるみたいだね」と話していた。
「なんか、こういうのっていいよね」
「どした愛。急に」
最近いろんな疑問に押し潰されそうになっていたけど、鴨と一度こうやって遊んだら何故か気持ちが軽くなった。やっぱり鴨ってすごいなって思う。
なんでも一生懸命で、いつも楽しそうに笑って。私はそんな鴨が好きだ。だからこうやって、カチャ。
「もーなんよ急に」
「ごめん。横顔鴨も画になるから」
「それ写真じゃん。描いてないじゃん」
鴨といる時だけ安堵する。緩慢な私の心を照らしてくれる。これで私はようやく答えを見つけれた気がする。私は鴨を友達として見ながらも、何処か違う目で見ている。
これはきっと、
恋、なんだろうなぁと気付いた。 「はち」に続く
はい!これが最終回でもいいんじゃないか?という回でしたね。まだ七月なのに、ここまで進んでいいのだろうか? このままいくと結婚とかしだすかもね。