「よん」 夏休み前の憂鬱
今回は百合な感じが出てます。 あと、リアルにこんな女子はいません。その事を理解してくださいませ
◆1
夏休みまであと二日。学校が終わる事に興奮して、「はやく夏休み来ないかなぁー」と呟きながらも内心、あたしは夏休みに入ったとしても特に面白い事はないな、と軽く失望していた。学校の方が楽しかったりするし。
三年生最後の夏の大会に向け、今女子バスケットボール部は滝の様に汗を吹き出しながら、切磋琢磨していた。あたしは大会に出れないけど、みんなに合わせる様に体育館を走り回った。
あたしはバスケが好きだ。ボールが地面に跳ね返って手の平へ吸い込まれる様にボールが戻って行く。両手でボールを押さえて、目の前にあるゴールを睨む。両足を地面から離し、前へ前へ!手を伸ばす。
手の平からボールの感触が消える。回転しながらゴールの方へ飛ぶバスケットボール。行け行け行け行けッと願い、祈って、唱えて、ゴール先を見つめる。
コンッとゴールの端側にボールが当たって跳ね返り、虚しく地面に落っこちた。何度もバウンドするボールを見つめながら、息を切らし、額から流れる汗は地面に垂れるばかりだった。
「・ ・ ・なんでだょ」
ボソリと声を漏らす。地面にバウンドするボールはあたしを嘲笑っている様な感覚が襲う。
才能が無いのはバスケを始めてやった時から気付いていた。ボールがいう事を聞かない、じゃなくて、あたし自身がボールの言う事を聞いていない。そりゃボールもあたしを見て笑うわけだ。
壁に寄り掛かって気になる先輩を目で追って自惚れるだけで、練習もしない友達でも大会が出れるんだと思うと、悔しくて歯が欠けそうな位に食い縛っていた。
何故あたしは大会に出れない?誰も聞いていない質問にあたしはさらに言及する。こんなに練習してるのに?汗だくでゴールを睨んでるのに?
「それは才能の差だよ」ともう一人のあたしが耳元で囁いた様な感覚だった。言及はどこにも行かず、ただ自分を苦しめるだけだった。
いっその事荒れようかな?何度もそんな言葉が浮かぶ。そんな自分を殴りたくなった。
「・・・クソ」
自分に悔しさをぶつけたくて、あたしは再びボールを持つ。目の前のゴールを睨んで、悔しさをぶつけたくて!勢い良く手を伸ばす。
ボールは回転しながらゴールを目指すが、無理だった。
また跳ね返った。ボールはあたしの足元に転がって来て、嘲笑っている幻聴が襲った。叫びたかった。怒りをブチ撒きたかった。
右足でボールを蹴って、水筒が置いてあるステージの方へ足を向けた。失望が伴う絶望に身を浸かりながら。
◆2
夕暮れの空は汗で火照ったあたしの顔と、同じ色をしていた。身を蝕む疲弊が伴う疲労感。萎縮して動きが鈍重して足元が重い。
下駄箱から登校用スニーカーを取り出して地面に投げる。内履きを下駄箱に戻し、スニーカーの踵を潰しながら足を入れた。
嗚咽しそうな感情を堪えて校門を出る。階段を下りようとした所で、あたしは足が止まった。
「あ、鴨。 やっと来た」
「な、なにしてんの?」
慌てて腫れ上がりそうな瞼を擦る。階段に愛が腰を下ろし、カメラを覗いていた。「どうしたの?」と愛はあたしの顔を窺う様に覗いて来る。こんな時に、もう。
そんなの卑怯だよ、と脳裏で呟きながら微笑を見せる。愛はあたしの友達だ。小学校の時からの。
「ううん、なんでもないでござるよ」
「そっか、じゃ帰ろう」
「うん、まさかずっと待ってたの?」
ふと浮かんだ疑問を愛に述べる。愛は「えっ」と声を漏らしながら目を一瞬見張る。そして何故か右手の人差し指を立て、クルクルと宙に円を何重と描く。
夕陽が原因だろうか、愛の頬が時期の速い紅葉色に染まった様に見えた。まぁ、夕陽だろう。
「そ、その・・・」と屈託しながら口がパクパク動いてる愛を、あたしは不思議に思いながら顔を窺う。なんだ?可愛いな。
「か、鴨と・・一緒に、か、帰り、たかった・・・から?」
身長なんて対して変わらないのに、何故か上目遣いであたしの顔を覗いて来た。人差し指は回転の速度が上がっている。黄金の回転か何かで爪でも飛びそうだな。
そんな愛を見て、あたしは「はぁー」と溜息を付く。なんか、どうでもよくなって来た。愛はやっぱり、最高だ。頬が弛緩し、自然と微笑んでしまう。
「もう可愛いやつめっ!」
「うわっ! もういきなり止めてよー」
あたしは愛に抱き付きながら、夕暮れの空の下で足を進める。橙色に染まる地上に、あきらめない、と肝に銘じて、強く踏む。 「ご」に続く。
はい!今日中にコロシチェッカーを終わらそうとしてます。 実際今書き始めたけど。 黄金の回転のネタはわかったら話しましょ。こういう風にパロディとかいれたらいいなーと思い。ネタ説明は面白くなくなるんで、もうしません! あとこれからいろんな話書くと思うし、クロスオーバーとかしたいと思います。えぇ