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「いち」 あやふやな感情

はい!急遽すいません! コロシシリーズも続いてしまうのですが、此方も進めて行こうと思います。またお願いします。

こちらは恋愛モノですが、なんとまぁ百合です。百合が苦手な方でも、コレは本気な百合ではないと思うので見れるかと・・・?

【登場人物】

鈴野宮すずのみや あい 『友達の鴨を、最近意識してしまう事に苦戦中』 『カメラで何かを撮るのが好きで、いつもカメラを携帯している。』


朝川あさかわ かも 『愛の友達』 『明るく陽気な性格で、その割には何でも気付いてしまう男だったらモテモテな以下略』



◇1 

 カチャ。私はいろんな事を写真に収めるのが好きだった。淡い火が灯る様な橙色の空をレンズの先で見つめる。橙色の淡い光の階段が雲の輪郭を露にさせる。

 その漂う夕陽をカメラでカチャ。「奇麗だ」と口元から漏れる。

 学校の校門を抜けた場所にある階段に腰を下ろし、カメラのフォルダを確認する。新しく増えたフォルダには橙色の夕陽が奇麗に納められていた。徐々に奇麗に撮れる様になって来たなぁと肌で感じながら思わず頬が緩んだ。

 橙色の光に照らされて、私も紅く染まる。これまで撮って来たファイルを思い返すかの様に見ていると、いきなり背後から薄い夜を迎えた。


「また写真見てんの? 相変わらず好きだよねー」


 背後から立ったまま私の右肩に顎を置いてカメラを覗き込んで来た友達に、耳元が赤くなり「うわっ!」と声を出しながら左側に体重が掛かって驚く。

 友達の鴨が、居残り勉強が終わったらしく校門から出て来ていた。「もう驚かさないでよー」と私は素直に驚いた事を晒して注意する。鴨はそんな私を見て満足な顔で「止めるものかっ」と言いながらニッと笑って来た。

 鴨は小学校の頃からの友達で、何故か一緒にいると安堵してしまう事に煩悶していた。

 私と鴨は友達だ。それ以下でも、それ以上でも何でもない。ただの友達だ。だけど、私はどこかで鴨を変な目で見ている気がする。

 それは何で?蜃気楼に浮かぶもう一人の私と対峙して、問い掛ける。だけど夢幻の私は答えてくれない。翻弄するかの様に、私を煩悶させる一向だ。


「さ、かえろっか!」

「そうだね」


 結局何も解らないまま今日も終わって行く。自分は何がしたいのだろうか?そんな疑問が波紋を描く。辺りに風は無く、湿気と熱気が混ざった気持ち悪い感じが足元からむわっと広がる様な感覚を味わう。白色不透明な感情が熱気を伴いながら脳を翻弄する。

 鴨と一緒にいると、安堵するのと同時に心臓の律動が強まっている事に気が着く。


「まったくよぉー補習辛すぎー」

「頑張ったね。私は鴨みたいに宿題忘れないから」


 鴨を横目で窺いながら除いてみると、此方を向いて「馬鹿にしてんのかコラっ!」と叱られた。私はそんな鴨が可愛く見えて、つい微笑んでしまう。

 やっぱり不思議な感じ。

 こんな時間がずっと続けばいいのに、と一瞬脳裏に浮かんだ気がして、自分が怖くなる。自分を動かすのは自分自身なのに、自分は自分をコントロール出来ないんだなぁと思う。

 「もう少しで夏休みだね」と鴨が空を眺めながら呟く。私は「そうだね」と返しながらカメラのレンズを覗き込んで、カチャ。 


「もー何撮ってんのさ」

「なんか画になってたから、モナリザ鴨だったよ」

「意味が解らぬぞ」


 私のカメラのフォルダには、橙色に染まった鴨の横顔が写されていた。カメラをケースに戻しながら、「夏休みさ、どっか遊びに行こうよ」と鴨に誘われ「うん、行こう」と返した。

 誘われた事に頬が緩んだのでは無く、いや、それもあるけど、鴨と会話出来ている事に頬が緩んでいるのかな。気持ち悪い。

 心臓の律動は強く刻み、優しく意地悪な何かが体を蝕んでいる様だ。煩悶する事にも疲弊を感じ、私は無視する様に鴨に別の事を話す。


「部活・・・どう?」

「んー相変わらず大会には出させて貰えないなぁー・・・」


 鴨はバスケットボール部の部員だが、未だに大会には出場した事は無い。「練習はそれなりにしてるんだけどなぁー・・・」才能が無いというのは、言うまでも無く鴨自身が気付いている。

 「だけど、バスケが好きだから」と鴨は再びニッと笑いながら親指を立てて諦め様とはしない。そんな所に私は鴨を尊敬している。心からカッコイイと思える。


「んじゃ、またねー」

「うん、またねー。宿題は忘れないでね」

「なめてんのかよーよー」


 お互い手を振りながら、私は横断歩道の方へ向かい、鴨は坂道の方へ足を進んだ。   「に」に続く





どうでしたでしょうか? この作品はアメブロと同時執筆なんですが、見てくれれば嬉しいです。 感想もばしばし待ってます。

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