表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

言葉を投げよう、この海へ

作者: 目白皐月

 二〇一一年三月十一日を境にして

 あなたからのメールは来なくなりました

 それでも私はしばらく

 メールの返事を待っていました

 こんな大変な時だから

 メールを書いている時間がないのだと

 そんな風に考えていました

 でもいつまで経ってもあなたからの返事は来なくて

 あなたが書いた新しい文章がネットに現れることもなくなって

 少しずつ、最悪の可能性を私も考え始めました

 きっとそういうことなのだろうと

 この可能性をみとめたくない

 そう思っているところもあるけれど

 私なりに気持ちの整理をつけたくて

 この文章を書くことにしました


 私は、あなたの本当の名前も知らない

 どこに住んでいるのかだって知らない

 知っているのはあなたがネットで名乗っていた名前と

 あなたが書いた文章だけ

 顔も知らないあなたのことを

 こんな風に考えるのは不思議なことです

 でもあなたの書いた文章から

 私は色々なことを学びました

 あなたとのメールから

 私が受け取ったものは多かったのです

 たとえ会ったことがなくても

 あなたは私に大事なことを教えてくれました

 そのことを私はずっと憶えておこうと思います


 もうメールを送っても、たぶんあなたが見ることはないのでしょう

 だからこの言葉を、ネットの海に投げましょう

 広い広いネットの海を漂っていけば

 誰か言葉を欲している人が拾うかもしれないから

 あなたならきっとそれを望むと思うから


 私は自分なりのやり方で

 先に進んで行こうと思います

 その道はあなたとは違う方向かもしれないけれど

 私は私にできることをしたいのです

 一度も会ったことはないけれど

 私はあなたを忘れない


 この詩は、個人的な体験を許にしています。

 この詩に書いたとおり、二〇一一年三月十一日を境にして、メールを返して寄越さなくなった知人がいます。

 知人といっても、ネット上の知人なので、どこの誰なのかは知りません。

 だから、何らかの事情で接続できなくなってしまったとか、あるいはただ単に飽きてしまったとか、そう考えたい部分もあります。

 ただ、連絡が取れなくなって二年が経過して、自分なりに気持ちの整理をつけたくて、この詩を書くことにしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ