19930609(下)
縦書きの方が読みやすいです。
5
こうして、図らずも親子の対面を果たしたあたしたちの、共同生活が始まったのだった。・・・まあ、あたりまえだけれど、親子って感じはまったくない。あの人は朝は仕事(楽器店でのアルバイト)に出て行き、夜には晩御飯(主にコンビニ弁当)を買って帰ってくる。あたしは、その間、大体家であの人の帰りを漫画を読んだり、テレビを見たりして待っている。そういえば、一度だけご飯を作ってあげたのだけれど、それを食べたあの人に「もう二度と作らないでくれ」って言われた。そりゃ、確かに、ちょっとだけ失敗したけれど・・・。そんなわけで、あたしは基本的に何もせずに過ごしている。
猫と一緒だ。飼われている。
そんな風にもう三日も過ごしている。果たして、これでいいのだろうか?あたしは、元の時代に戻れるのだろうか?色々と問題は山積みだけれど、今は後回しにしてダラダラしている間に、また夜が来た。
「お前さ、この漫画、知ってる?」
食事も済ませて、二人して漫画を読んでゴロゴロしていたら、不意にあの人が読んでいた漫画の表紙を見せながら訊いてきた。
「まあ、そりゃあ有名だからね。」
その漫画は、あの有名なバスケット漫画だった。赤い髪のアレである。
「そうか・・・。なあ、こいつらってやっぱ、全国制覇出来るよな?何か読んでると感情移入しちゃってさ。頑張れって気持ちになるんだよな。みんな、いい奴だし。もちろん、敵もなかなかやるし、そちらの事情もあるだろうけど、やっぱり、こいつらに勝たせてやりたいよな。未来から来たんなら知ってるんだろ?なあ、どうなるんだよ?」
この人、漫画の中のキャラクターに、どれほどの愛情を注いでんの?はっきりいって引くわ・・・。
「それを知ったら面白くなくなると思うけど・・・。」
「いいから、教えてくれよ。」
「まあ、いいけど・・・・。」
「で、どうなんだよ?」
期待に満ち満ちた笑顔であたしの顔を見てくるあの人。
「出来ないよ。」
「は?何が?」
あの人の笑顔が少し、引きつった。
「いや、だから、出来ないの、全国制覇。」
あたしのこの言葉を聞いたとたん、あの人の顔色が変わった。何というか、絶望の見本みたいな顔つきになって、
「嘘だ・・・嘘に決まってる・・・俺は信じないぞ・・・騙されるもんか・・・そうなんだろ?嘘なんだよな?・・・嘘って言ってくれよ。」
と、あたしにすがり付いてきた。あたしは、少し意地悪してやりたくなって、
「本当です。間違いありません。」
と、断定口調で宣言してやった。
「そんなーーー。何でなんだよ?」
「それは、読んでのお楽しみ。」
あたしが、悪戯っぽく笑うと、
「お前、それはずるいぞ!教えろよ!」
と、あの人はあたしに詰め寄ってきた。
「嫌ですーーー。」
といいながら、あたしは、部屋の中をグルグルと逃げ回った。最初はそれを「なんでだよ!」と追いかけてきていたあの人も途中で諦めて、部屋の隅で拗ねてしまった。
少しかわいそうなことをしたかなと思ったけれど、こんな事ぐらいで拗ねるなんて子供っぽいとも思った。だから、一時、放っておいた。
・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「・・・・・そういえば、」
拗ねだして一時間が経とうとした頃に、あの人が突然、声を上げた。
「お前の、ギター見せてくれよ。」
あたしのって言うか、あんたのだけどね。
「まあ・・・いいけど。」
そう言ってあたしは、ケースからギターを取り出しあの人に渡す。すると、受け取ったあの人は、震えながらこう言った。
「お前・・これ・・・まさか・・いや、でも・・・・。」
「何か変なの?」
「いや、変じゃないんだけど・・・これ、本物だよな?だとしたら、すげー高けーぞ。だってこれ、ギブソン、レスポールカスタムで、P―90が付いてるから本物なら五十四年製とかだぜ。何百万とかすると思うよ。すっげー。なんで、こんなの持ってんだ?」
「家に、有ったんだよ。」
「なんじゃそりゃ?金持ちってわけでもないみたいだし・・・。なあ、良かったら明日のライブ、このギター貸してくれねーか?」
「別に、いいけど・・・。」
元々は、あんたのだし。
「まじで?やったーーー!」
子供みたいな声を上げるあの人。
「よし、じゃあ早速、弾いてみよう。」
そして、あの人はかなり機敏な動きで(普段は絶対見れないほど)部屋の隅のアンプにギターをつないだ。そして、おもむろにEコードを一発。
「くぅーーーーー!いい音だねーーーー。」
震えるように、しみじみと声を上げた。あたしは、何だか自分が褒められたみたいで、誇らしかった。それから、あの人はギターをかき鳴らしながら、歌を唄いだした。歌詞を覚えてないのか全部ラララー・・・と唄っていたのだけれど、なかなか良さそうなメロディーだった。覚えやすい割りに、結構味があって、もしオリジナルなら正直にすごいと思うほどの出来栄えだった。ひとしきり唄って、あの人はタバコに火をつけた。
「ねえ、今の歌って何?自分で作ったの?」
あたしが訊くと、当然といった風に、
「そうだよ。俺が作った。」
と、あの人は言った。
「すごいじゃん!すごいじゃん!いいよ、今の曲!」
あたしは、抱きつかんばかりの勢いであの人に言った。しかし、あの人はいまいち嬉しそうにはしなかった。
「気に入ってはいるんだけど、駄目なんだよ。何か、イメージじゃないんだよなー。」
「へえー、そうなんだ・・・・。」
せっかく褒めてあげたのに・・・。がっかりだ・・・。
「そうだ!お前、ちょっとこの歌、唄ってくれよ。俺の勘では、この曲は多分、女が歌ったほうがいいと思うんだよな。」
あの人は、まるでそれが決定事項のように、あたしに言う。
「いやだよ、そんなの。」
「頼むよ。」
あたしは、もう歌わないって決めたのだ。
「お願い。」
そんな、自信もないし。
「頼むからさ。」
確かにいい曲なんだけどね。
「どお?」
ちょっとだけならいいかな?
「駄目?」
この曲なら歌いたいかも。
「なあ」
「分かったわよ。しつこいなー。唄ってあげるよ。」
「ほんとか?やったーーーー!」
あの人は、喜びを表すために(?)万歳をした。で、あたしにマイク代わりだといって、テレビのリモコンを渡し、自分はアンプに腰掛けた。
「じゃあ、いいか?・・・ワン、ツー、スリー、フォー。」
カウントをとって、あの人はギターを弾きだす。
「ラ、ラララー・・・。」
マイク(代わりのリモコン)に向かって歌いだす。メロディー自体は大体把握していたからそんなに難しくはないけれど、この恥ずかしさだけは何とかして欲しかった。それでも、あたしは結構本気で歌う。お世話になっている身だし・・・。
さあ、サビに入るというところで急にあの人は演奏を止めた。
「・・・・お前・・・。」
見るとあの人は、酷く驚いたような顔であたしを見ていた。
「お前・・・もしかして・・・・ってあちゃちゃちゃ!」
呆けていたみたいで、くわえていたタバコを足の上に落としたみたい。バカじゃないの・・・・。それより、
「何よ?音痴だって言いたいわけ?そんなの分かってるよ。あんたが、歌えって言ったんだよ。それをなんだよ・・・。」
「違う違う。誤解だって。まったく逆だよ。すげーよ。めちゃくちゃ良いよ。なんていうか、イメージ通りっていうか、イメージ以上って言うか、とにかくすげー良かったんだよ。何かこの曲がお前のためにあるっていうか。なんていうか、そんな感じ。」
すごく興奮した様子であの人は言ってきた。
「・・・そうかな?」
「そうだよ!」
こんなに、褒められたのは初めてだったので、ただただ恐縮してしまう。
「・・・・恐縮です。」
「いやー、予想以上だったな。なあ、もう一回歌ってくれよ。」
「別に、いいけど・・・・ていうか、この曲、歌詞はないの?」
「・・・いやー・・・それが・・・。」
いかにもバツが悪そうにあの人は頭をかく。
「まだ、無いんだよ。ていうか、ずっと書こうとしてるんだけど、いまいち決まらないんだよ。どんな歌詞もはまらないって言うか・・・。」
「ふぅーん。そうなんだ・・・。」
せっかくいい曲なのに・・・。
「じゃあ、書こうか?あたし。」
えっ?あたし今、何て言った?
「えっ?お前、今、何て言った?」
あの人も驚いてあたしを見る。
「いや・・・その・・・歌詞が無いなら、あたしが書こうかなって・・・・な、なんちゃって。だめだよね?そんなの。」
無い、無いってあたしは手を振る。あたしは、何を言っているのだろう?自分でも理解できない。
しかし、「いや、」あの人は、タバコに火をつけて
「書こう。俺も一緒に書くから、書いてくれ。」
「いやいやいや・・・無理だよ。あたしには。」
確かに、歌詞がないばっかりにこの曲をうずもらせてしまうのは惜しいけれど、あたしには歌詞を書くなんて無理だ。・・・と思う。書いた事が無いから分からないけれど、多分無理だ。
「やるまえから、決め付けるなよ。」
あの人は、寂しそうな顔でそう言った。
「やってみろよ。俺も手伝うからさ。な?」
「でも・・・自分で書けば良いじゃん。」
「俺だけじゃ、書けなかったんだよ。なあ、やるだけやってみようぜ。」
いつにも増して、いや、いつもは決して見せないような真剣な顔で言われると困ってしまう。・・・・そんなに言うなら・・・。
「じゃあ・・・・ちょっとだけなら・・・。」
「よし、じゃあ早速。」
そう言うと、あの人はボロボロの大学ノートと、鉛筆を持ってきた。
「どんな、感じのイメージにする?」
「そうだなー・・・・・。」
結局は、押し切られるようになってしまったが、こうして、あたしと父親との始めての共同作業が始まった。書き始めてみれば、あたしは自分でも驚くほど楽しんでいた。あの人は、手伝うって言っていたけれど、あたしがほとんどを書いたと思う。というか、全部かな?ただ、あの人と話しながら考えたから、こんなに書けたのかも知れないとも思う。
この日、あたしとあの人は一晩かけてこの曲の歌詞を完成させた。朝には二人して床で寝てしまうぐらい疲れたけれど、そのかいあって自分では納得のいく歌詞がかけたと思う。朝の光の中、あたしは達成感と満足感に満ちて眠りについたのだった。
6
『目が覚めるとあの人はもう、居なかった。
まるで、ノルウェイの森みたいに。』
なんて事を寝ぼけた頭で考えながら、時計を確認するともう夕方の六時だった。テーブルの上を見ると、書置きがあった。
『ライブ、七時からだから来いよ。』
と書いてあった。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・って、ヤバッ!
遅刻するかも!ていうか、遅刻だ!
寝ぼけていた頭を叩いて、叩き起こして、あたしは部屋を飛び出した。それだけナザレのライブは、あたしにとって大切なものになっていた。しかも今日はワンマンライブだし、ファンとしては見逃せない。
そうなのだ。ファンなのだ。
この前のライブを見てからというもの、不覚にもあたしはすっかりナザレが気に入ってしまった。あの人には内緒だったのだけれど、(知れば、きっと勝ち誇るはず)実は、今日も楽しみにしていたのだった。
そんなわけで、
あたしは走った。
走って、走って、走った。
考えてみれば、あたしはこの時代に来てからずっと走っている気がする。
とにかく、今は一秒でも早く、ライブハウスに行かなくては。
ライブハウスは程よく込んでいた。ワンマンでもここまでお客さんが集められるって事は、ナザレは結構人気があるのかも?あたしが着いた時は、もう始まる寸前だったから、ステージ前まで行くのは難しそうだった。しかし、そこは自慢ではないが、あたしはチビッ子だ。いつもは大嫌いな自分のコンプレックスも、こういう場合は役に立つ。体の小ささを活かしてあたしは、人を掻き分けステージ前までたどり着く。と、同時にSEが鳴りだした。ゆったりとした演奏に、特徴のあるしゃがれ声。
「これって、サッチモの・・・。」
『この素晴らしき世界』だ。相変わらずな選曲に、思わずにやけてしまう。この曲は、あたしの大好きな曲だった。あたしがまだ小さい頃に、母親が、よく子守唄として歌ってくれたのだ。あたしの、数少ない母親との暖かい記憶。もしかしたら、母親はあの人の影響で、この曲を歌ってくれていたのかもしれない。またもや、そんなノスタルジーに浸っていたら、ダラダラとメンバーが出てきた。
ベースは、全身真っ赤だった。真っ赤なライダースに真っ赤な革パン。それに足もとはエンジニアブーツで、頭はモヒカンだった。明らかに気合が変な方向に向かっている。
ドラムは、全身キラキラだった。まぶしいぐらいにスパンコールの散りばめられた銀色のシャツに金色のベルボトムという、頭のおかしさだけを強調したようなファンキーさだった。
そして、最後に出てきたあの人は、一番意外な格好だった。てっきり、派手な着物でも着てくると思ったのだけれど、あの人はフォーマルも『ど』フォーマル、真っ黒で高そうな燕尾服を着て出てきたのだった。ギターもあたしが貸してあげた黒いギターなので、全身真っ黒。他の二人がかなり派手な分、逆に目立った。ていうか、気が付いたのだけれど、これってもしかして正装のつもりなんじゃないかな?多分、初めてのワンマンライブだし、それで各々が自分なりの正装をしているんじゃないのだろうか?まったく・・・つくづく楽しませてくれるバンドだ。
SEが静かに消えて、一瞬の沈黙・・・。
カウント、四つ。
静かに曲が始まる。
淡々とした曲だった。まるで、荒涼とした砂漠のイメージ。かなり長い前奏の後に歌が始まる。あたしが感じたようにこの曲は、砂漠のキャラバンと自分の人生を重ねた歌だった。
荒涼とした砂漠・・・。
それでも、歩みを止めるわけにはいかない。
歩みを止めたら、それは死ぬ時だ。
きっと先には、オアシスがあるだろう。
そんな、歌でライブは始まったのだった。
一転して、次の曲はファンクなカッティングにのせた、アーモンドとピーナッツのどっちがいいかという曲だった。何か深い意味があるのかもしれないけれど、とにかくノリが良くて、観客も一曲目と違って右へ左へと大きく揺れるのであたしは波に浮かぶ小枝みたいに体をリズムに預けていた。
そんな感じにナザレは自分たちの出せる全てを出し切るような演奏を続けた。一曲一曲、曲調はコロコロ変わるのだけれど、全部に共通して、音楽に対しての愛情が感じられた。あたしは、そんな愛情に包まれたステージを食い入るように見つめていた。その姿、その音を全て、網膜に、鼓膜に、あたしの心に刻み付けるように・・・。
この日、ナザレは十二曲を演奏した。最後の曲は、シンプルなロックだった。なんだか原点回帰みたいな曲でこの日のライブは幕を閉じた。あたしは、かなりの満足感と感動を胸いっぱいに抱えて、メンバーが去ったばかりのステージを見つめていた。その時、後ろのほうから、
「・・・アンコール。・・・アンコール。」
と誰かが言い出した。と思った時には会場は満開のアンコールで埋め尽くされていた。そうか、ワンマンだからアンコールも有りなんだ。そうあたしが納得したら、待ってましたとばかりに、メンバーが再度ステージに姿を出した。相変わらずダラダラと、淡々と準備をしている。
「アンコールありがとう。」
この日、初めてあの人がしゃべった。そうなのだ、さっきまでは一度もMCをしていなかったのだ。
「・・・・じゃあ、アンコールにお応えして新曲を一つ。」
その言葉に客席は一際大きな歓声と拍手に包まれる。もしかして、昨日作った曲だろうか?だったら嬉しいけれど、昨日の今日でそんなに簡単に出来上がるものだろうか?なんて考えてたらあの人が、急にあたしに手を差し伸べてきた。最前列にいたあたしは、簡単に手が届いたので反射的にその手を取ってしまう。『あっ、しまった。』と思った時にはあたしの体はステージへと引き上げられてしまっていた。ライトが眩しくて一瞬クラッとする。へぇーステージからは客席ってこんな風に見えていたんだ。・・・・・なんて、のんびり考えてる暇は無い。なんでーーーーー?
「この曲は、俺じゃなくてこいつが作ったんだよ。で、しかもこいつが歌ったほうがしっくりくるんだよな。だから、みんな聞いてやってくれ。」
あぁ、なるほどね・・・・なんて言うか!いきなり過ぎる!滅茶苦茶もいいところだ。そんな、抗議の目を向けていたら、あの人は
「もう、引っ込みはつかなくなっちまったぜ?どうするよ?」
と、あたしの耳元で囁いてきた。見ると、してやったり顔で嬉しそうにしている。くっそーーーー。何だか嵌められた気分。というかバッチリ嵌められた。悔しいけれど、
「・・・・分かったよ。やったげるからマイク、貸してよ。」
観念してそう言うとあの人は、自分のマイクをスタンドから外して、あたしに笑顔で手渡した。受け取る瞬間に、
「お前の一言で曲が始まるから、何か言えよ。」
と、またしてもいきなりすぎる指示を出してきた。そんな事、急に言われても・・・。客席を向くとあたしに向けての拍手と歓声が沸き起こる。その音に一気に緊張してしまった。
「・・・・あの・・その・・・・・あの・・・。」
口ごもっていると、みんなが、期待の目で見ているのがひしひしと伝わってくる。何か言わなきゃ・・・何か言わないと・・・と思えば思うほど言葉が出てこない。
「がんばれーナカコー。」
不意に声がして驚いて、ビクッとする。見るとあの人が口に手を当てて「がんばれー。」と言っていた。その声が聞こえたのだろう、客席からも徐々に「がんばれー」とか、「ナカコー」といった声が聞こえてきた。それは、だんだん広がって客席全体のナカココールへと発展した。みんな、大騒ぎだ。声はどんどん大きくなっていく。
「あの・・ちょっと・・・静かに・・・。」
これでは、あたしの声も全然聞こえない。最初は嬉しかったけれど、このコールにだんだん腹が立ってきた。
「みんな、静かに・・・静かに・・ちょっと、聞いてよ・・・。」
・・・・もう限界!
「うっるさぁーーーーーーーーーーーーーいっ!」
と叫ぶと、客席は一気に静まり返った。
「黙って・・・あたしの歌を聴けーーーーーーぃ!」
シーンとした客席にあたしの、超時空的にデカルチャーな一言が響き渡ったのだった。これで、あたしは吹っ切れた。
その静寂の中、ドラムのカウントが入る。
かき鳴らすように響くギター。
うねるように、のたうつベース。
加速度を上げて駆け抜けるドラム。
そして、歌が始まる。
「
君に くちづけは
水たまり 飛び越えて
群青に染まった交差点
明日になれば
君が 弾けて
離れ離れな僕ら
響け このギター
かき鳴らす振動が
打ち鳴らす鼓動が
伝わるように
泣かないでベイビー
胸がこわれそう
その傷跡も 感傷も 泣き顔も
群青に 放て
バイバイベイビー
息が止まりそう
今日生まれたこの気持ちを 今
空に放つよ
」
間奏に入って、あの人のギターソロになる。
疾走感と切なさのこもったソロ。
そして、二拍のブレイク。
・・
「
風が吹いたら
音をあげるぐらい
なんてプラスチックな奇跡
悲しいだとか
嬉しいだとか
どうでもよくなるような夕暮れ
届け この声
かき鳴らす感情を
打ち鳴らす衝動を
はりあげて叫べ
泣かないよベイビー
胸が軋んでる
その言葉も 視線も 触れた手も
吐息さえ 放て
バイバイベイビー
何故泣いているの?
言葉にならない秘密を そのまま
教えてあげる
」
ますます加速度を増していく演奏。
バンドも客席も飛んでいく。
「
バイバイベイビー
胸がこわれそう
バイバイベイビー
息が止まりそう
バイバイベイビー
届きますか?
バイバイベイビー
バイバイ
」
演奏が終わった。
・・・・・・・・・・
少しの沈黙の後、ひっくり返ったような喝采が巻き起こった。
喝采の中あたしは、肩で息をしながら滲むライトを見ていた・・・。
7
ライブがハネた。
その後、ナザレの三人とあたし、それにバンドのマネージャー(ちょび髭でとっても明るいデブ)とドラムとベースの彼女という七人で打ち上げという名のどんちゃん騒ぎをすることになった。あたしは、マネージャーに絡まれてなかなかめんどくさかったのだけれど、そこをベースのセイジさんとその彼女さんが大分助けてくれた。ドラムのマサさんとあの人は、さっきからずっと変な踊りをしている。ダンスバトルだそうで、みんなでそれを見てお腹がよじれるほど笑った。それから、程よくお店に迷惑をかけたところで追い出され、それぞれが自分の家へと帰っていった。
帰りに立ち寄ったコンビニで『打ち上げだから』という非常に安易な理由で、あたしとあの人は大量に花火を買い込んだ。あの人の家は屋上ハウスだから、庭のように屋上が使えるみたいで、あたし達は雑居ビルの屋上から、夜空に向けて無数の打ち上げ花火を上げた。屋上から上げた花火は真っ暗な夜空に映えて、意外なほど綺麗だった。あたしは、その下で両手に手持ち花火を持ってはしゃいだり、あの人はドラゴン花火を口に咥えたり(よい子は真似しないでね。)して花火を心ゆくまで楽しんだ。
パラシュートを獲りあったり、ヘビ花火を観察したり、色々したけれどやっぱりシメは線香花火でしょう。日本人だし。
「あのさ、お前の時代の俺ってどんな感じ?」
線香花火も残り半分ぐらいになった頃、突然あの人に訊かれた。
驚いて、線香花火の火種を落としてしまった。
ついに、この時が来てしまったか・・・。今まで無かったのが不思議なぐらいだ。さて、どう答えたものか・・・。と考えを巡らしていると、
「死んでんだろ?」
と、他人事のようにあっさりとあの人は言った。
「分かるよ。何年たっていようが、さすがに面影ってもんがあるだろうからな。お前が俺に会って、ブリを見るまで気付かないって事は、俺をちゃんと見たことが無いって事だろ?写真と実物じゃ大分違うもんな。お前の時代には俺がもう居ないんだろ?」
あたしが、何も言えないでいると、あの人はさらに続ける。
「そうじゃなくても、実は分かっていたんだ。俺がそんなに長くないって。」
言葉の意味が分からなくて、首を傾げていると、あの人は教えてくれた。
「最初は、ただの鼻血だと思ったんだよ。だせーってな。でも、日に日に回数が増えていくから、おかしいなって思って医者に行ったら、鼻血は病気のせいだっていうじゃねーか。嘘だと思った。しかも、とても信じられないような病名の病気だったしな。」
その病名は、死の病として有名なものだった。
「すぐには信じられなかった。で、信じた後は耐えられないほどの絶望に落ちた。本当に死んでしまいたいぐらい。笑えるだろ?ほっといても死ぬのに死んでしまいたいなんて・・・。」
とても、笑えなかった。そうか・・・だから、あたしに会った時にすぐに疲れたりしたんだ。
「でも、死ぬのは怖いんだけど、だんだんどうせ死ぬなら好きなことしようと思うようになった。それで今のバンドを組んだんだよ。あいつらは元々別のバンドで、俺が無理言って引き抜いたんだぜ。あいつら、上手いし目立ってたからな。」
なるほど・・・。それで、格好とかスタイルがバラバラなのか。でも、それがナザレの魅力なんだけど。
「それで、いつまでもあいつらを付き合わせたら悪いって思って、実は今日のライブで解散しようと思ってたんだよ。で、そのことをあいつらに言ったらふざけるなって言いやがった。俺たちはお前の音楽が気に入って好きでやってる。付き合いでやってるなんて微塵も思ってないってさ。セイジになんかぶん殴られたよ。そんなこと言われたら、やめるにやめらんないよな。」
そんなことがあったんだ。そりゃ、演奏も良くなるに決まっている。
「そんなことがあった時に、お前に会ったんだよ。まったく、神様ってのは大分、悪戯が好きみたいだな。お前がいるって事は俺はまだ死なないってことだろ?少なくとも、次に誰かと付き合ったり結婚するまで、そいつにお前を身ごもらせるまでは俺は生きてるんだ。それなら、俺は死ぬまで生きてやろうと思ったんだよ。命がけで生きてやろうと。やるまえから諦めたくはないしな。」
そう言ってあの人はニッと歯を見せて笑った。
「そういえば、俺、いつか子供と一緒にステージに立ちたいって思ってたんだけど、それ、叶っちまったな。生きててよかったぜ。」
あはは、とあの人は笑った。
あたしは、この父親の子供でよかったと思う。無責任に勝手に死んで、本当に最悪だと思っていたけれど、こんなにも強い人の娘であることが誇らしかった。それなのに、あたしときたら全部をほっぽりだして家出をして、何一つ自分一人で出来もしないくせに、出来ないのを周りのせいにして、本当にこんなあたしが最悪だ。
最悪だった。
でも、今は違う。
「あたしも・・・。」
ん?とあの人があたしの顔を覗き込む。
「あたしも、お父さんと一緒にステージに立ちたかったの。だから今日は本当に嬉しかった。実は今日はあたしの誕生日なんだけれど、こんなに素敵な誕生日プレゼント貰ったのは初めてだよ。ありがとう、お父さん。」
あたしがそう言うとあの人は照れ笑いを浮かべて、
「よせよ、お父さんとか言うの。恥ずかしいだろ。」
と言った。あたしも恥ずかしくなって照れ笑いを浮かべる。
「・・・おいっお前、何か体がめちゃくちゃ光ってるぞ!」
あの人に言われて、あたしの体を見ると手や足が光り始めていた。
「どうやら、お別れみたい・・・。」
「そうか・・・。寂しくなるな・・・・。」
「また、すぐに会えるよ。」
「そうだな。まあ、今度は赤ちゃんのお前だけどな。」
「うふふ・・・じゃあね、お父さん。」
「またな、娘よ。」
「バイバイ。」
「ああ、バイバイ。」
・・・・・・・・・・・・・。
眩しくて目を閉じて―――
次に目を開けたら、そこは近所のバス停だった。
ちょうど、夕方のバスが着いた時で中からサラリーマンや学生が降りてきた。あたしは、ベンチに座ってそれを見ている。なんだか、夢を見ていたような感覚だった。
突然、現実に帰ってきたあたしは自分の家が気になった。そうだ、ちゃんと帰ってこれたなら家があるはず。バス停から、あたしのマンションまでは走れば一分もかからない。角を二つ曲がって、三つ目の角を曲がったところに、あたしの住むマンションはちゃんと建っていた。よかった、帰ってこれたんだ、と思いその場にへたり込んでしまった。一時はどうなることかと思ったけれど、これにて一件落着・・・・と思ったけれどあたしは重大な事に気付いてしまった。
「あっ・・・・忘れた・・・・。」
あたしの家出のための荷物、それに何よりも大事なギターをあの時代に忘れてきてしまったのだった。何てことだ・・・。
あたしの、ドジ。
「・・・ただいま。」
ドアを開けるといつものようにブリが出迎えてくれた。
「お前とは、生まれる前からの付き合いだったんだね・・・。」
そう言ってしゃがんでブリの頭を撫でてやると気持ち良さそうにゴロゴロ言い出した。すると、急に暗くなったので、顔を上げるとそこには怒りに肩を震わせた母親が立っていた。あれ?仕事は?何て考えていると、あたしの左頬を母親の右手がビンタした。
「・・・・えっ?」
あたしが戸惑っていると、
「あんた、あんな書置きをよこすなんてどういうつもりよ!どんだけ心配したと思っているのよ!」
母親はそう怒鳴ってあたしを抱きしめた。
「あんたにまで、どっかに行かれたらあたしは・・・・。」
「・・・お母さん。」
母親がこんなにもあたしを想っていてくれたなんて知らなかった。というか、知っていたけれど知らないふりをしていた。母親のこの気持ちがあたしには重すぎたのだ。受け止めきれないから、逃げていた。たった二人だけの家族なのにあたしは、今までちゃんと母親とも向き合ってこなかった。気持ちに応えられないかもと考えると、怖かったのだ。
「大丈夫・・・。あたしはもう、どこにも行かないよ。自分から絶対に逃げない。お母さんからも逃げないから・・・。だから、安心して。」
あたしがそう言うと母親は、「うわーーーん」とまるで子供みたいに泣いた。まったく、世話が焼ける母親だ。でも、こんな母親でもあたしのたった一人の家族だ。あたしも、この人を愛そうと思う。父がそうしたであろうように。
意外な事に、母親はあたしの誕生日だからと言う理由で、今日は仕事を休んでくれたらしい。だから、今日はちょっとしたご馳走がテーブルに並んでいる。あたしが、それを見て喜んでいると、
「実は、それだけじゃないんだなー。・・・・なんと・・・プレゼントがあります!」
と母親が取り出したのは一枚のCDだった。あたしが、受け取って眺めていると、裏ジャケットのところに見た事ある顔が。
「実は、それはあんたのお父さんが出したCDなのです!どう?驚いたでしょ?まあ、インディーズなんだけどね。」
誇らしげに胸を張る母親にあたしは思わず抱きついた。
「ありがとう!お母さん!これ、ずっと欲しかったんだ!」
「へっ?」
母は何か腑に落ちないような顔だったが、あたしが嬉しそうなのを見ると「まあ、いいか」と納得したようだった。ナザレの音源があればいいのにってずっと思ってたあたしは本当に、心の底から、飛び上がるぐらい嬉しかったのだった。
後にしなさいって言う母の言葉に、ちょっとだけって応えて自分の部屋に行く。一刻も早く聴きたかったのだ。バタバタと部屋に行って扉を開けたあたしは少し驚いてしまった。
「あれ?・・・忘れたはずじゃ・・・?」
そこには、あたしの大好きで大切な、あの黒いギターがケースに入ってぽつんと置いてあったのだった。
ケースを開けたあたしは、中に一枚のメモを見つけた。そこにはこう書いてあった。
「 ナカコへ
借りてたギター、返すよ。いいギターだから大事に使えよ。
PS あの曲はやる。
父より 」
このメモにあたしは思わず涙してしてまった。
あの人は、結局いろんな意味でズルイ。
やりたいようにやって。
生きたいように生きて。
改めて、あたしはあたしの両親のことをこう思う。
無責任に生きて、無責任に死んでしまった父。
子供みたいにいつまでも寂しがる母。
だけれど、二人とも自分に嘘をつかず正直に生きている。
逃げずに自分を晒している。
あたしも、そうありたいと思う。
あの二人の娘のあたしなら
きっと、そうなれるはず。
この日、あたしは、母親と今までの事、自分がどんな風に思っているか、思っていたかを全部話した。母は全部を何も言わずに聴いてくれた。その後、母は父の話を沢山してくれた。こんなに話すのはもしかしたら、初めての事だったかもしれないので、ふたりともぎこちなかったけれど、何かが変わり始めたような気がした。それが、あたしへの両親からの一番の誕生日プレゼントだったと思う。
8
それから。
あたしは、今、教室のドアを睨んでいる。
何故こんな事をしているかというと、少し時間を遡る必要がある。
あたしたちのクラスは文化祭の出し物として、『メイド茶屋カラオケショー付き』というとてもエキセントリックな模擬店を企画した。キョーコちゃんが茶道部なのでおいしい抹茶を点ててくれて、あたしたちはそれをメイドの格好で運ぶ。で、順番にステージでカラオケショーを披露するのだった。最近、物事が以前と違ってみえるようになったあたしは、この企画にも結構ノリノリだった。今、ステージでは与謝野先生による、一人『ボヘミアン・ラプソディ』が披露されている。途中のオペラ部分をどうするのか、非常に興味深いところなのだけれど、あたしはそれどころじゃなかった。なぜなら、次はあたしの番だったからだ。緊張の面持ちでステージを見ていたあたしに、
「気楽に、やんなよ。」
と、ハルカが声を掛けてくれた。ちなみにハルカは実行委員なので、司会進行を担当している。
「そうよ。例えあなたが、失敗したとしてもその後の私が必ず取り戻して見せるから、大船に乗ったつもりでいなさい。」
とノゾミ。
「・・・・それ、フォローになってないから。」
とハルカが突っ込む。ノゾミはあたしの後に『撲殺天使ドクロちゃん』を歌う事になっていた。ていうか、どんな歌だよ、それ。
パチパチといったまばらな拍手が聞こえて、ステージを見ると与謝野先生が手を振ってそれに応えていた。先生はサービスに、お仕置きよのポーズも決めてステージを降りる。
「じゃあ、中原さん、頑張ってね。」
ついに、あたしの順番が来た。
先生とバトンタッチしてステージ(という名の教壇)に上がる。
前から見ると、結構お客さんも入っているみたいだった。
「ナカコーーー。」
声のする方を見るとイヅミちゃんが壁際で手を振っていた。その姿を見ると、なんとなくホッとする。イヅミちゃんはあたしの家出を本気で心配してくれていたみたいで、あたしが家出をやめた事を聞くと親のように喜んでくれた。
・・・・・よしっ!
気合を入れてマイクに向かう。もちろん、大好きなあの黒いギターを抱えて。
「この曲は、あたしと、あたしのお父さんとで作った曲です。あたしにとっては初めて作った曲で、とても大事な曲で、大好きな曲です。聴いてください・・・『バイバイギター』。」
あたしにはまだ、バンドも無いから今は一人で弾き語りだ。それでも、一人でも多くの人にこの曲が届くように、精一杯声を張り上げて歌った。こんな小さなステージでもあたしにとっては立派な一歩だ。
この小さな一歩目をあたしは力強く踏み出した。
文化祭のステージの後、与謝野先生があたしに「部活、作らない?」と誘ってきた。先生はずっと、軽音部が作りたかったらしいのだけれど、いい人材がいなくて諦めていたらしい。それでこの度、いい人材、つまりあたしを見つけて長年の夢を実現させようと言う事らしい。あたしは、少し考えたけれど最終的にはこの計画に乗る事にした。由緒正しい東雲女子高等学校では、初めての軽音部設立ということで、結構、反対意見もあったらしい。それでも何とか部員募集にまでこぎつけたのは、一重に与謝野先生のおかげだろうと思う。部員募集のポスターをいたるところに貼って、登下校時にはビラを配って、もうすでに一週間、まったく何の反応も無い。あたしの待つ音楽準備室の扉を叩く人は残念ながら誰一人いなかった。
「今日も誰も来ないねぇー。」
ハルカが欠伸しながら言う。
「・・・・うるさい。」
「開店休業って奴ね。ハル、あなた、入部してあげたら?」
ノゾミが相変わらずフォローになってない事を言う。
「嫌だよ。私、楽器とか出来ないし。」
「・・・・うるさい。」
「やっぱ、みんな、ナカコが怖いんじゃない?」
「ハルカ、うるさい!大体なんであんたたちがいるんだよ!」
「私たちはあんたが寂しいと思ってこうやって、来てあげてるんじゃない。考えて見てよ、こんな寂しい音楽準備室に一人でいたら、気が滅入ってしまうわよ。」
「・・・・確かにそうだけど・・・・・。」
この二人は暇なのかこうやって、あたしをひやかしにやってくるのだ。確かに一人だと寂しいだろうけれど・・・。
それだから、あたしはこうやって開かない教室のドアをずっと睨んでいるのだった。
「そんなに睨んでても、誰も来ないよ。」
ハルカが言う。
「・・・・そうだね。」
あたしもさすがにずっと睨みっぱなしは疲れたので、少し休憩する事にした。あたしが、ドアから目を離したその時、
『コン、コン』
あまりにも、願いすぎて幻聴が聞こえたのかとおもった。しかし、
『コン、コン、コン』
これは・・・・・!
「ねえ・・・・今・・・聞こえたよね・・・・?」
あたしの問いかけに「うん・・・聞こえた・・・。」と、ハルカが応えた。
『コン、コン、コン』
これは・・・・・ノックだ!
「ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう・・・?」
うろたえるあたしに、
「と、と、と、と、と、と、とりあえず返事したら?」
と、ハルカが答える。
「はーい。どうぞー。」
と、ノゾミが応える。
「あーーーーっ!ノゾミ、勝手に応えないでよ!」
「だって、グズグズしてたら帰っちゃうかもしれないでしょ?」
そう言ってノゾミはクスクス笑った。
「すみませーん。あのー見学したいんですけど・・・・?」
ドアを開けて恐る恐る入ってきたのは、二人の、多分同じ学年の子だった。その二人にあたしは、慣れない笑顔でこう訊くのだった。
「ロックンロールは、好き、ですか?」
と。
第二話 19930609 おわり
さて、いかがでしたでしょうか?少女奇譚第二話「19930609」は。これは、あまりにも、あまりにもすぎる程に個人的な、言わば私小説という奴で、皆さんにお見せするのは、甚だお恥ずかしいのですが、思いついちゃったものはしょうがない、どうぞ見てやってくださいと言わんばかりの開けっ広げさが際立つ出来になっております。
作中には数々の実際にいる人や、物、場所が出てきていて、何だか自分の人生を語っているような錯覚を覚えました。ナカコは過去の自分、シモンは大人になった自分と言ったところでしょうか?もちろん実物の私はあんなにかっこ良くは有りませんのであしからず。ちなみに、ブリも実在しますが、こちらは、作中と変わらない可愛さになっております。写真を添付したいぐらいに。
あと、実はこの文中には所々に、私の敬愛して止まないロックの歌詞が散りばめられています。分かる人には分かる程度なので、暇な人は探して見てください。気になるのは著作権の事。大丈夫なのでしょうか?いささか心配ではあります。その辺りに詳しい方は是非、ご一報ください。助かります。
最後に、こうやって書く機会を与えてくださった方々、また、最後までお付き合いくださった読者の方々に超時空的にデカルチャーな最大級の感謝を述べさせていただきます。本当に心から有難う御座います。それでは、まだまだ続く、少女奇譚、次回もお楽しみに。この次も、はっきり言って、面白かっこいいぜ!
二〇一〇年 三月 壱原イチ




