パチンコを俯瞰して:リゼロ・鬼がかり99ver編
「先読み熱モード」だとか、「先読み高信頼度モード」だとか、名前はどうでもいい。
要は、「なんかいつもと違う変化があったら、『当たっている可能性がある』」それだけで、初心者はおっ、と姿勢を正すし、期待する。
このモードに設定するのは、何も初心者には限らない。パチンコにつきものなのは、「ガセ」である。
「当たっていると見せかけて外す」というのは厳密には正しくなく、「当たったかどうかは、抽選をする場所を通過した瞬間にもうわかっている」ので、結果が画面に反映されるのは、それが終わった後である。熱いもクソもないのである。
パチンコというのは、極端に言えば「DVしてくる家族」のようなものである。離れられない。優しいときは優しくなる。普段は優しい顔で近寄ってくる。そして、自分の感情で裏切りのである。
ところで、私がパチンコをやり始めた直後がちょうど、「リゼロ・鬼がかり」が流行り出した頃であった。
・ほどよい継続率(次また大当たりが当たりやすく、次々に当たりが連続する確率)と、
・ラッシュの消化スピード(『右打ち』の、『当たりやすくなった状態』での『当たり外れの抽選の反映の早さ』)、
そして、クセになる『先バレ』の気持ちよさ。
この三拍子が揃っているとして、鬼がかりはパチンコ業界で話題沸騰であり、約319分の1の確率で当たるという、とても初心者には勧められないはずの「ミドル」と呼ばれる当選確率にもかかわらず、雑なまとめサイトでは大抵、「初心者向け」として必ず名前が挙がっていたほどである。
それに引っかかった私は、そんなものかなあと思いながら打ったものであったが、試行回数50回ほど(それも、連続で行かずに気分次第で、1日1回打ったと計算して)で、当たったのは最初の一回、2パチでのことである。結局二回しか当たらなくて、4000発しか出なかったのを覚えているが、本当にビギナーズラックであった。
その後やはり、319分の1はまったく、当たらないものであると現実を思い知らされ、特に、リゼロ2の、349とかいうもっと当たらない確率の重さにボロ負けしてから、私は甘デジや129だけに絞るようになったものである。
そのリゼロでまさに、鬼がかり99verだとか、129verという、こちらを狙い撃ちしたかのような確率帯の台が出てきたというのだから、私のように涙を呑んだ人間はよほど多かったと見える。
ただ、後発の鬼がかり99や129はほとんど忠実にミドルの機種を移植しているので、いわゆる『フルカスタム』は不可能である。
最近のパチンコは、カスタマイズである程度、演出バランスを自分ように調整することができる。
例えば「先読みが来た時点で90%当たる」とか、「なかなか見られない演出を、頻繁に見ることができる」だとか、「先バレと先読みを同時にオンにするとか」である。
「鬼がかり」は、これができない。
「先バレモード」は、初代の「鬼がかり」が新たに開発したというよりは、既にあった機能をより洗練させ進化させた、ニーチェの「ルサンチマン」の再発見のようなものであるが、これの信頼度が60%という、絶妙な数字になっている。
台の手元の宝玉と呼ばれるデザインのランプが赤く点灯し、「ボキューン」という独特の音が鳴ると、60%の確率で、大当たりである。しかも、この先バレがなくても大当たりする可能性は、一応残っている。
確かにこれは、流行るであろう。
しかし、今から見れば、「カスタマイズの組み合わせができない」というのがなんとももどかしい。
結論から言おう。その日、私は始めたばかりは勝者であった。
しかし、満足できなかった。帰りたくなかった。だから、そのまま勝負を続行した。
結果私は、みるみる「勝ち分」を溶かした挙句、財布がすってんてんになってしまった。勝った時にやめていれば、少なくとも赤字を出すことはなかったはずなのに、である。
「先バレ」が60%ほどしかないというのは、先に述べた(このあたり、もう少し詳しい、あるいは正しい信頼度は、DMMぱちタウンなどを参照されたい)。
私はパチンコのお決まりというかお約束の「ガセ」が死ぬほど嫌いである。なんなら、「ハズレならそもそもリーチにならなくていい」とすら思っている。
当たりの時だけ独特の演出が入って、直後に当たる。
それで十分なのである。毎度毎度、一喜一憂させられるのは、心臓に悪い。最近そのせいか頻脈になっている。
その「先バレ」がどうにも信用できなかったので、「先読み高信頼度」と、「メリハリモード」を途中、何度か切り替えた。
結果は既に言った。負けである。しかも、大ハマりの負けである。
最後に大当たりしてから、563回、抽選した。
つまり、「99分の1のくじを、563回引いて、563回では、当たらなかった」のである。
その間、まったく期待させられることがなかったかと言えば、そうではない。3回、「保留変化」と呼ばれる、「普通と違う抽選」があったのである。
3回である。
「先読み」が3回もあって、人を期待させておいて、当たらないとはどういうことだ、と私は内心、CV大塚周男氏で、相当カッカしたものである。なんなら色鉛筆を台に投げつけて、チクショウメ、と叫ぶところであった。
こればかりは、本当にサンキョーを見習ってほしい。彼なら「先読み90%」や「フルカスタム」ができる(それでもまれに外れるが)。外れる魚群など魚群ですらないのだ。
それにしても、560回である。一秒に一個、なんて風には抽選結果を終わらせてくれないので、実際は演出がもっと長い。使われた時間は、一体どれくらいだろう。
ペテさんがいたら、「アナタ、怠惰デスね?」と言ってくれるはずである。
ただ、すってんてんになると、いいこともある。
「帰り道」が開かれるのである。
夜になって、一文無しになって、どうしても帰らなければならないときになって初めて、帰る資格を得られるというか、帰り道を阻んでいた、透明な壁がさっぱり消える。
とぼとぼと、私はスーパーカブの元まで歩いて行って、よっこいしょ、と腰を下ろして、盗んではいないが借り物のバイクで走りだせるのであった。
鬼がかり99verの、「鬼がかりラッシュ」の継続率は、確か74%ほどである。
「北斗の拳 強敵LT」の下位ラッシュの継続率が70%であることと比較すると、あまり大差ないように見える。しかし、ラッシュ中の大当たり確率が79分の1と考えると、「北斗の拳 慈母」の時短が100回ついた状態と言えなくもない。続くときは続くかもしれない、絶妙な確率。
それでもやはり、継続率は80%くらいほしいと思ってしまう。私はどこまでも強欲な人間であった。
残念なことに、『強欲の魔女』だって、肯定してくれない――物欲にまみれた、小物でしかないのだが。




