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遠雷の魔王人生を生きる  作者: 宅間晋作
第四章 妖天竜祭編
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勝利と朧げな誰か

「勝った。 勝ってしまった」


 カリュゲドゥスは倒れたランドマンを見て思わず呟いた。


「まぁこんなもんだろ」


 トルムが肩に剣を置きながらランドマンを見下ろした。


「トルムお前なんでランドマンを斬らなかった?」


 カリュゲドゥスはトルムに質問する。


「俺は別にぶちのめすって言っただけで斬るなんて言ってねぇよ」


「多分トルムは斬れなかったのね?」


 そうい言ってブリュズがトルムの肩を叩いた。


「別に? 俺はやる気が出ねぇだけだ」


 トルムは口を尖らして拗ねる。


「ふふ拗ねちゃったわ」


 そんなトルムの頬をブリュズはつついて笑う。


「微笑ましいな」


「うん」


「いてて、強ぇなぁ」


 するとランドマンが立ち上がりカリュゲドゥス達を見た。


「よしお前らを選抜メンバーに推薦する事にする! ただし最終的に決めるのはスタリニナだ。 いいな?」


「分かった」


「まぁ楽しみに待ってろや。 ワッハハ」


 ランドマンはそう高笑いして闘技場を出た。


「なんか騒々しい一日だったなぁ」


「ふふ。 そうだね?」


 そんなカリュゲドゥスの呟きにウェイラが微笑んだ。


「もう皆今日はここで解散しないか?」


「賛成!」


 カリュゲドゥスの言葉に皆が頷きそのまま部屋へと戻って行った。



 その日の夜カリュゲドゥスは夢を見た。

 その体男性の体だった。

 騎士団を率いて魔獣の群れや亜人達と戦争を繰り広げた。

 そして最後にカリュゲドゥスに殺された。

 もう一つ夢を見たエルフの夢だ。

 とても歌が上手く、言葉が上品だった。

 様々なエルフ達から慕われ、沢山の子ども達に囲まれていた。

 だが森を人間達に焼かれて怒りのままに狂いそして一人の少年に心臓を貫かれて死んだ。


「なんだ? なんでこんな夢を見る?」


 カリュゲドゥスは思わずそんな事を言っていた。


『それは俺達がお前の魂の中に強く残っているからだ』


『私の子孫をどうかよろしくお願いします。 遠雷の魔王。 どうかお幸せに』


 声が聞こえる。

 懐かしいようで遠い声。

 顔がぼやけて見えない。

 でもカリュゲドゥスは知っているはずだ。

 この二人をその信念と強さを知っているはずだ。

 知っているはずなのに思い出せない何故だ?

 

『俺達の出番はまだだ。 お前が成長した時もしくは辛い時に俺達はお前に力を貸す』


『全くリーリフも変な魔法をカリュゲドゥスの魂にかけたものです。 今は朧げでも大丈夫。 私達がいます。 今はただ仲間達と共にどうか勝利を』


 とりあえずカリュゲドゥスは女性の声に頷いた。

 悪い事を言っているようには見えなかったから。


「とりあえず。 ありがとう顔も名前も思い出せない人よ! 我は生きるぞ!!」


 カリュゲドゥスは礼を言った。

 その方がいい事があると思ったから。

 そう思いながらカリュゲドゥスは目を覚ました。



 






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