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遠雷の魔王人生を生きる  作者: 宅間晋作
第二章 冒険者学院入学編
21/124

指摘

「はっ? 勇者?」


 カリュゲドゥスは驚き過ぎて時を忘れた。


「ええそうですわ。 まぁ人間の勇者セルトとは違ってこちらはエルフ族の戦士の称号ですけど」


 ラミレーナはどこか誇らしげに言うと鼻を鳴らして笑った。


「エルフの中に勇者と言われている存在いるとは聞いた事がないし、セルトがカリュゲドゥスが死んだ後エルフと戦争したなんて聞いたこともないぞ」


 五百年前、勇者は誰だと聞かれたらセルトだと口を揃えるぐらいに魔族戦争に関わっていた亜人族と人間達の認識は多く、尚且つ勇者セルトが出た戦場でセルトが戦った亜人達は数知れなかったがそれらを完全に打ち負かしてその亜人達を国民として受け入れて役職を全うした事をカリュゲドゥスは噂で聞いていた。


 それだけ勇者という存在影響は大きく実際魔族戦争が始まった三年後に勇者セルトが戦場に現れてからは勢いがあった亜人連合ならぬ魔族達はたちまちたださえ少ない同胞、同志を亡くし、絶望の縁に立った。


 そんな中希望を見出されたのが適当にふらふら旅をしていたカリュゲドゥスであり、泣きついて連合に加わって欲しいと頼まれたがその要求をカリュゲドゥスは突っぱねたが何度も説得しに来たので結局結局連合の旗頭として勇者セルトと戦う事を決めたのだ。


 だからこそエルフ族の勇者がいたと言う話は聞いた事がない。

 でなければカリュゲドゥスを旗頭にせず、その守護者のエルフを連合の旗頭にすれば良いはずだ。


「まぁ当たり前ですわね。 勇者セルト一行が人権を与えるべく亜人族の説得をしに旅をした中でエルフと戦争したなんて伝えれる訳ありませんものね」


「それはいつの話だ?」


「正確には遠雷の魔王カリュゲドゥスが死んだ三週間後に起きた出来事だと言われていますわ」


「我が死んでからかぁ」


 自身が死んだ後に勇者セルト達はそんな事をしていたのかとカリュゲドゥスは唖然となって空を思わず見上げた。


「コホン。 話を戻しますわ。 その中でエルフの中でも強い戦士達がロマンナという森に住むエルフ達だったのですわ」


「ブリュズの家名ではないか!!」


「そうですの。 大体エルフと獣人達は生まれた里や森の名前から家名がつくのはご存知?」


「それは知らぬなぁ」


 ちなみにカリュゲドゥスは捨て子だったせいで家名はわからない。


「まぁとにかく勇者セルトは三日三晩ロマンナ一族と戦い、国民の人権をそしてアルミア王国の同盟をロマンナ一族を認めさせる事が出来ましたわ」


「おおーさすがセルトだ」


 カリュゲドゥスはセルトの活躍に手を叩いて大喜びした。


「そして、事件は起きましたわ」


「事件?」


「セルトがロマンナ一族と同盟を結んだその夜に謎の集団によってロマンナの森が燃やされましたの」


「なんと!?」


「その集団は黒い魔力を放ち、謎の赤い紋章の力でロマンナの森に住むエルフの戦士達を皆殺しにした聞いていますわ」


「ほぉ。 黒い魔力に赤い紋章?」


「そして数少ないロマンナの生き残りがブリュズと言う事ですの」


 その言い方に対してカリュゲドゥスは一つのひっかりを覚えた。


「うん? 待てよ」


「どうしてそんな事をお前が知っている? 確か家名が……エレシュトンのエルフどこかで聞いた事がある気がするな?」


「どうしたんですの?」


 カリュゲドゥスは一つ引っ掛かりを覚え、一人のエルフの姿を思い出してラミレーナに質問する。


「まずお前の名前はラミレーナ・エレシュトンだったな?」


「ええそうですわ」


「だがおかしいラミレーナエレシュトンというエルフはもうない筈だ。 だってそれは」


「チッ」


 カリュゲドゥスが喋ろうとするとラミレーナがいきなり炎の魔法を放って来たので咄嗟に避けた。


 避けた後にすぐさまカリュゲドゥスその言葉の続きを言いながらラミレーナを指を指した。


「だってそれはエレシュトンの里を人間の山賊と傭兵に滅ぼされて復讐に走った当時魔族戦争の副官をしていたエルフの名前だからだ。 そしてラミレーナは勇者セルトの初陣の戦いで死んでいる」





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