竜人族
少し困った顔をして奴隷商を見やれば、地に膝を手を額を付けてブルブルと震えて様に見える。
何をしているのだろうか?
俺に対する少女の行動を見て、奴隷商は怒られるとても思ってるのだろうか?
怒りはしない。ただ少女に顔を上げる様に命令して欲しかっただけなのだが。
数多の獣人族を従えるライオン人族と言っても、今の奴隷商では使い物に成らない、さて困った。
何故、ライオン人族である奴隷商が弱気なのか?
いくら客商売とは言え普通てはあり得ない態度。
それは父の威光に寄るものだろう。
何せ父はこの辺り一帯を取り仕切る者だから。
そして父と俺が竜人族で在る事も大きいと思う。
数多の獣人族を従えるライオン人族と言えど、獣人族でない竜人族が相手では恐れもする。
再び少女へと向き直り、少女の顎下に指を差し入れて、半ば強引に顔を上げさせた。
俺の方へと向けさせた顔は、口を引き結び目をぎゅっと閉じている。
「君の綺麗な目をもう一度見せて欲しいな」
素直な気持ちを声に出してみると、少女の顔から徐々に力ごが抜けて行くのが分かった。
あと少し、もう少し、何かを言わなくては。
「そのままで居るとキスしちゃうぞ!」
言った瞬間に少女はパッと目を見開き、怯えと驚きの表情を見せ、小さな体をより小さくさせてしまった。