猫耳
昼食を済ませお茶を飲み胃を休ませた後、午後からは外で戦闘訓練の時間。
犬耳メイドと一緒に外へ出て訓練場まで歩いて行く途中、猫耳の下働きが近くを通り掛かり頭を下げてきた。
だが尻尾とその毛は逆立ち、いつもの三倍以上に膨れ上がってる。
そして声では無い何か「フシューフシュー」と聞こえてくる。
それは隣を歩く犬耳メイドからも「ウー ウー」と低く唸る様な何かが。
犬耳メイドと猫耳の下働きはお互いに威嚇している様な苛立って居る様な感じだ。
二人の間に入り二人の頭を撫でて少しばかり落ち着かせ「仲良くね」といってみたが。
二人はお互いに目が合うと同時にそっぽを向いてしまう。
仲良くさせるのは諦め、猫耳の下働きに「たま後でね」と軽く手を振り早々にその場を離れ犬耳メイドと訓練場へと向かった。
猫耳の下働きは数ヶ月前にこの屋敷に来たばかりなのに、何故か既に犬耳メイドとは仲が悪い。
猫耳の下働きは俺の15歳の誕生日に御祝いとして、両親と共に奴隷商に行って買って貰った少女。
屋敷に連れて来られた日、俺が名前を付けた『桜』と。
奴隷商には多くの奴隷が檻に入れられていたり首や足に鎖で繋がれていた。
それでも少女や若い娘は少しは血色も良く他よりましな服も着せられ、その区画だけは見るに堪えないと言う程ではなかった。
だが、その中に一人だけ薄汚れた少女が居た。