羊人族
たかだか小銀貨一枚、それでもメイドは大事そうに抱き締め何度も頭を下げる。
犬耳メイドは俺より歳上だろうが二十歳には成らない位か、そして身長は俺より少し高い。
これでも種族的に竜人族の俺は、歳の割には背は高い方なのだが僅かに負けてる。
「本日のお世話させて頂きますワン!」
「ああ、宜しく頼む」
犬耳メイドへ返事を返しつつ、その場を後にして自室へと歩き出しメイドも着いてくる。
簡単にメイドが釣れるほど小銀貨に価値が有るかと聞かれたら困る、ある程度の生活水準で育ってきたメイドがそれなりのお店で果物付きの昼食を一食頂ける位だろう。
部屋に犬耳メイドを招き入れ、逆に早朝から俺の身支度や朝食の世話を焼いてくれた羊人族の執事を追い出す(休ませる)。
「羊、後は犬耳メイドが引き継ぐから帰って休め」
「では失礼致します」
これで暫くは二人きりに成れる。
犬耳メイドに紅茶を淹れてもらい一息いれる。
その間もメイドは午前の勉強に必要な筆記用具等をテーブルの上に並べていく。
部屋のドアがノックされ山羊人族の教育係が入ってきた。
教育係は挨拶の後、俺の正面の席に座る。
俺は隣に犬耳メイドを座らせ一緒に教育を、受けさせる。
これには幾つかの意味がある。
メイドを遊ばせておく訳には行かない事、俺が飽きてしまわない様にする為、一緒に勉強する事で競争心を煽る為、ついでにメイドの教育も出来る。良い事づくめだ。