犬耳
下ろし金の様にザラザラとした気持ちも別なメイドの現れで、まな板の様にさらさらな気持ちに成る。
今度のメイドは頭の上の垂れた犬耳を上へ下へと揺らしながら歩いてる。
なんとも可愛いメイドだ。
揺れる耳を見ていれば俺の竿もビクビクと反応しだす。
メイドの耳の揺れに合わせ、自然と手が動いてしまい握った竿に伝われば、絹糸を伝い餌の小銀貨まで揺れる始末。
今度は逆に、揺れる小銀貨を目にした犬耳メイドが若干顔を上げ一瞬立ち止まった――っと思った次の瞬間には餌に飛び付いていた。
その動きは何となくだが条件反射に近いものの気がした。
これで今日のお付きのメイドは決まりだ。
下に向けて声を掛ける。
「上がって来い!」
メイドは上を見上げ更に周りを見渡し掛けられた声が自分に向けられた言葉だと確信した様子。
軽く成った糸を引き上げ犬耳メイドを待つ。
上がって来た犬人族の若いメイドは小銀貨を掌に乗せて差し出して来るが、その手を優しく包み込様に小銀貨を握らせメイドの胸に押し当てて言う。
「お前にやる。その代わり今日は俺のお付きだ」
「はい、ありがとう御座いますワン」
たかだか小銀貨一枚、それでもメイドは大事そうに抱き締め何度も頭を下げる。