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願い
奴隷として買われ、下働きと成った桜が屋敷に来てからか、狐耳のメイドはつれなく成ってしまった。
いや、もう少し前からだったかも知れない、だがその頃から一段と冷たく感じられる様に成ったのは確かだ。
桜と仲良くしていれば必ずと言って言い程、割って入ってくる。
俺は桜とも犬耳のメイドとも、もちろん狐耳のメイドとも仲良くしたいのに。
仲良くしたいのだが、少し素っ気無くされてしまえばイラ付いてしまう。
当主の息子とメイドの距離感と考えるなら、今が正常なのかも知れない。
頭では分かってる、俺は父上の跡を継ぎ、狐耳のメイドはメイドとして教育され、それを守り成長しているのだろう。
だが何時も傍に居て欲しい、そしたら他のメイドを釣る必要も無い。
幼い頃の日に戻りたい。
一緒に遊んだあの頃に。
――――完――――