奴隷
奴隷商で猫人族の雌を購入したが、その日に連れ帰る事は出来なかった。
何でも俺の教育? 用に何かの処置が必要とかで二週間後の納品だそう。
初めて目にしたオッドアイ、家に帰ってからも頭から離れない。
嬉しさが顔にも出ていた数日間、狐耳メイドに「ニヤニヤと気持ち悪いですよ」と何度も足を踏まれた。
物心が付いた頃から長く一緒に居るせいか、距離は近いが今まで足を踏まれた事があっただろうか?
だが、ニヤニヤしていたのも数日の話、日が経つにつれ記憶は薄れ、納品の日は両親に呼ばれるまで忘れていた程だ。
父の書斎に入れば両親と羊の執事、そして奴隷の猫人族が鎖に繋がれ立っていた。
綺麗な瞳を見て感動が再び沸き上がる。
「此の奴隷はお前の好きに扱いなさい」
「夜、部屋に入れても良いのよ」
「父上、母上、有り難う御座います」
両親の言ってる事は今一つ理解出来なかったが、珍しい眼を持つ奴隷を貰えた事を素直に喜んだ。
奴隷に近付き執事から鍵と鎖を受け取る。
今日は洗われ服も着替えさせられ、身綺麗に成っている姿に微笑んだ。
そして初めての命令とは言えないような命令をする。
「行くぞ」
少し重い鎖を引きながら、部屋を出て自室へ向かった。