呪われた子
脅す積もりで言った訳では無いのだ、半分冗談の積もりで、もう半分は自分でも良くは分からないが、あのままだったら本当にキスをしてしまったかもしれない。
目を開けた少女は薄汚れてるのに美しかった。
丸い目の中に輝く瞳は、左右で色が違うのだ。
あまりの美しさに今度は身体がゾクゾクしてしまう。
っと、次の瞬間! 気持ちを抑えきれず少女を抱き締めてしまった。
またしても怖がらせてしまったようで小さな体が震えてる。が抱き締めた事を後悔してない。
その光景を目にして最初に動いたのは、付き人として連れて来た狐耳のメイドだ。
「御召し物が汚れます」と言いつつ俺の両肩を引いた。
重心が後ろに傾き、倒れそうに成るのを立ち上がる事で回避した。
服なんて汚れても下働きに洗わせれば良いだけなのに、何をそんなに慌てたのか?
薄汚れた檻を出て両親へ言った。
「此の奴隷が欲しい!」
誕生日に何でも買ってやると言ってた両親の返事は、意外なものだった。
「こんな薄汚い物物をか?」
「そうよ、もっと綺麗な物にしなさい」
その言葉に慌てたのは俺ではなく奴隷商だ。
「すみませんすみません、この子はオッドアイと言って左右で目の色が違い、猫人族の中で稀に産まれる呪われた子、直ぐにお下げ致します」