王と王妃⑩
読んでいただいてありがとうございます。しばらく離ればなれです……。
先日、お花を頂きました。個人的にはジークさんイメージのお花だなと思って、飾ってあります。
嬉しさと有難さと感謝の気持ちでお花を眺める年末になりました。
ありがとうございます。
翌日、いつも通り王妃の部屋にジークフリードが行ったので、ヨシュアは何とか中の話が聞こえないかどうか扉の近くで聞き耳を立ててはみたものの、厚い扉に阻まれて中の声が聞こえることはなかった。
扉の前には王妃の部屋を守る騎士が常にいるので、さすがに扉に耳をくっつけるようなことは出来なかったが、それでも十分近くで聞き耳を立てたが無理だった。
しばらくして部屋からジークフリードが出てきた時にチラリと中を見えたが、中では王妃付きらしき金髪のメイドがカップなどを片付けている後ろ姿が見えたが、特に怪しい物は何もなかった。
扉が開いた時に漂って来た匂いも、花の良い匂いがほのかに香ってくるくらいで、あのねっとりした匂いではなかった。
けれど、やはりどこかジークフリードの様子はおかしくて、顔色も少しだけ悪いように見えた。
王妃の部屋から十分に離れた場所に来た時に、ヨシュアはジークフリードに声をかけた。
「先輩、大丈夫ッスか?」
「……何がだ?」
「昨日より顔色が悪いッス」
「ん?そうか?」
「そうッス。王妃様の部屋で何かあったんッスか?」
「何もないよ。ユリアナとは、アルブレヒトやルークの話をしただけだ」
「アルブレヒト殿下はともかく、ルーク殿下のどんな話をしたんッスか?」
「ヨシュアこそどうしたんだ?お前、ルークの話に興味なんてあったのか?」
ジークフリードが怪訝そうな顔でヨシュアの方を見た。
「興味というか、あのルーク殿下の話ッスよ。興味はありませんけど、その行動や考えは知っておかないと、いつお嬢ちゃんに迷惑がかかるか分からないッスからね」
内心、ちょっと焦りながら、ヨシュアは違和感だらけのジークフリードの言葉に、小さく喉をゴクリと鳴らした。
おかしい。ぜぇっったいにおかしい。
ジークフリードが、セレスの護衛であるヨシュアがルークの行動や思考を知ろうとするのをそんな怪訝そうな顔で見ることなんて、今までなら絶対になかった。
むしろ、率先してヨシュアにそれらを教えてセレスを守れと言うのが、いつものジークフリードだ。
ルークを警戒しているのはヨシュアもジークフリードも同じはずなのに、何でそんな言葉が出てくるんだろう。
今、目の前にいるのは、本当にヨシュアを振り回して笑顔で次の仕事を無茶ぶりしなから押し込んで来るいつものジークフリードだろうか。
セレスと一緒に行くためにわざわざ冒険者時代の服を引っ張り出してきて、仕事をアルブレヒトにやっぱり押しつけ……ではなくて、王になるための下準備と称して任せているジークフリードだろうか。
「お嬢ちゃん?あぁ、セレスティーナ・ウィンダリアのことか。ルークが恋い焦がれる雪月花、か。彼女は、セレスは……」
そこまで言ってジークフリードはよろめいて壁に手を付いた。
「先輩?本当に大丈夫ッスか?ふらついてますッス」
倒れることがないようにヨシュアが支えようとしたら、ジークフリードがヨシュアの腕を強く掴んだ。
「いっ!痛いッス先輩!」
ヨシュアの文句など聞こえていないのか、ジークフリードがさらにヨシュアの腕を強く掴んだ。
「痛いッス!先輩」
「……ヨシュア……」
「はいッス?」
「彼女を……セレスを守れ……」
「……先輩……?」
ほんの一瞬、その目に輝きが戻ったジークフリードが苦悶の表情を浮かべながら言った言葉にヨシュアは頷くことしか出来なかった。




