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侯爵家の次女は姿を隠す。(書籍化&コミカライズ化)  作者: 中村 猫(旧:猫の名は。)
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次女と秘密の薬草④

読んでいただいてありがとうございます。ランキングにちょこちょこ載っていました。本当にありがとうございます。

 本屋を一通り巡って薬草本などを買ったセレスは、薬師ギルドに向かった。

 アヤトから連絡がいっているので、薬師ギルドではクレドの街周辺で採れる薬草について聞くことが出来た。

 そのついでに、セレスはトーイ・フージという薬師の記録が残っていないか確認をした。


「んー、トーイ・フージ、トーイ……あった、この人ですね」


 受付けのお姉さんが古い薬師の名前が書かれた本を持って来てくれた。

 ザイオン王の時代の記録にトーイの名前があり、時々薬をギルドに卸していたこと、それに薬の品質はいいが、ありきたりの薬しか作っていなかったことが記されていた。

 そこに、本に書かれていたような薬の記載はない。


「あの、この人がどこで薬草を採取していたとか分かりますか?」

「古い記録だし、さすがにそこまでは……あ、ちょっと待ってください、フージって確か……」


 受付嬢は別の古い本を持ってくると、パラパラとめくり始めた。


「やっぱりそうだった、これ、フージ男爵の薬草園の記録です」

「え?そんな記録があるんですか?」

「はい。ほら、薬草園は有事の際に薬草を提供してもらわないといけないから、各支部でどこで何を作ってるか把握しているでしょう?これはその古い記録ですね」


 そういえば、王都のギルドにもそういう記録があった。

 たまに古い本を虫干ししているのだが、その時に見た覚えがある。

 ちなみに、虫干し最中に本の中身を確認することは許されていない。

 なぜなら、確認と称して読み始めたら全員夢中になって仕事をしなくなるからだ。


「よく覚えてましたね。もう廃れてしまった薬草園なのに」

「ふふ、すごいでしょうって言いたいところですが、実は私の初仕事がこの薬草園の記録を調べることだったんですよ。十年ほど前に、この薬草園のことを聞きに来た人がいたんです」

「十年前に?その人の名前とか分かりますか?」

「ごめんなさい、名前までは覚えていません。確か隣国の薬師だって言っていたような覚えがありますが……。どこかで古い記録を見たらしくて、フージ男爵家の薬草園で作られていた薬草を探していたようでした」


 古い薬草園の記録があるのは、このためだ。

 廃れてしまった薬草園がそのままにされていると、残された薬草がその土地に根付いていることがある。中には珍しい薬草が残っていることもあり、薬師が探しに行くこともある。

 元の生息地では失われた薬草が、たまに見つかることもある。


「ここって、まだありますか?」

「場所的にちょっと山の方だから、人の手は入ってないと思います。だたもうずっと放置されているので自然に還っている可能性は高いですが、薬草は根付いているかもしれませんね」

「そうですね。ちょっと行ってみます」

「山の方なので、気を付けて行ってください。それから、もし何かの薬草が見つかったら、情報だけでも提供していただいてもいいですか?必要なら後日、うちの者に確認に行かせますから」

「分かりました」


 そこでセレスは、ハッと気が付いて後ろを見た。

 セレスが勝手に山行きを決めてしまったことで、ジークフリードが少し困ったような顔をしていたが、仕方ないとばかりに肩をすくめた。


「詳しい位置を聞きたい」


 ジークフリードがセレスの代りに質問を始めたのだった。

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