第6章 第1話 恋バナ
〇光華
「あの……紅梅さんだよね?」
ある日の放課後。1人教室を出ると、髪を派手な金色に染めたギャルっぽい女子が話しかけてきました。
「そうですが……何か?」
「えと……最近宗吾と仲いいよね?」
「そうですね。同じクッキングクラブですし、高校編入同士なので仲良くしていただいています」
「へ、へー……。宗吾のこと……好きなの?」
宗吾くんのこと? うーん好きか嫌いかで言えば……。
「好きですよ」
「っ! そ、そうなんだー……。でもやめといた方がいいと思うよ? 宗吾剣道のことしか頭にないから寂しい想いすることになるだろうし……」
「そんなことありませんよ。宗吾くんは私のことも剣道と同じくらい大切にしてくれています」
「っ! ふ、ふーん……」
何が言いたいのでしょう……。なぜか泣きそうですし、不思議な方です。
「……宗吾はあなたのこと、なんて言ってるの?」
「馬鹿とかポンコツとか無限製造機とかですかね」
「……? 宗吾と付き合ってるんじゃないの……?」
「そ、そんなそんな……。まだ出会って1週間ほどですし、そんな関係には程遠いですよ」
「そ、そうなんだ……よかったー……」
「?」
よかった……? 私と宗吾くんが付き合ってなくて……? ま、まさか!
「私のことが好きなんですかっ!?」
「宗吾が人のこと馬鹿って言うの珍しいって思ったけどその通りすぎる……」
これが違うとなると……ま、まさか!
「十日市場くんのことが好きなんですかっ!?」
「誰だしなんでっ!? 違う! あたしが好きなのは宗吾!」
「宗吾くんのことが好きなんですかぁっ!?」
「声が大きい……。この子やりづら……!」
ほ、ほへぇー……。宗吾くんは以前お付き合いされていた方にこっぴどく振られたと聞いていましたが、そうですか、そうですか……! ようやく幸せになれるのですね……!
「私にお任せくださいっ! 必ずお二人をくっつけてみせます!」
「うんそれを頼もうと思ってたんだけどちょっとあんたやば……いやでも他に頼れる人もいないし……お願いしようかな」
おぉっ! 恋バナです恋バナです! さすがにテンションが上がってきましたっ!
「ところでお名前聞いていませんでしたね。別のクラスの……同級生の方ですよね?」
「ああそうだったね……」
そして彼女は名前を告げます。私が聞いたことのない名前を。
「蝦夷町恵子。よろしくね」




