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第5章 第4話 尋問

「いい加減吐きやがれ! お前たちが復讐部なんだろっ!?」

「だから私たちはクッキングクラブです! 何度言えばわかるんですかっ!?」



 千鳥さんに言われた「お前たちの活動は調べた。この2人にたいした覚悟などないんだろう?」という言葉。僕は何も返すことができなかった。



「調べはついてるんだよっ! お前らは黙って頷いてりゃいいんだっ!」

「杜撰な調査ですね。それにこんな恫喝的取り調べ……恥ずべきことですよこれは」



 「なら退学してもいいのか? 俺たちにはみんなその覚悟がある。大恩ある部長のために死のうという覚悟の元に集まったのが俺たちだ。君に退学になってでも成し遂げたい復讐があるのか?」。その言葉に反応することすらできなかった。



「ごちゃごちゃ口答えしてんじゃねぇぞ! こっちはいつでもお前らを退学にできんだよっ!」

「できるものならどうぞ。然るべき機関に話を通し取り消してもらいます」



 僕は何がしたいんだ。復讐? 剣道? わからない。どちらが大切なのか。どちらを取るべきなのか、なにも――。



「てめぇも黙ってないで何とか言えやこらぶぎゃぁっ!?」

「…………」



 取り調べ官が胸ぐらを掴んできたので無意識にその頭をテーブルに叩きつけてしまった。昔ならこんなことしなかった。今ではもう復讐が身体に染みついてしまっている。なのになんであの時、僕は何も言わなかったんだ。



「そ、宗吾くん……? この人、気絶しちゃいましたけど……」

「……しょうがないよ。あっちから仕掛けてきたんだから」



 生徒会に捕まった僕たちが連れてこられたのは尋問室。パイプ椅子にテーブルとドラマで見る取り調べ室のイメージそのままだが、目を遠くに向けると血の色に染まった竹刀やら拘束器具があまりにも普通に置いてある。多少暴力的なことは認められているのだろう。まぁやられたら倍返しにするだけだが。



「あ~らら。やっちゃったね~」



 困っている光華さんになんて声をかけようかと思っていると、この暴力的な施設には合わないのんびりとした声と共に、栗色の髪に軽くウェーブをかけたかわいらしい女子が尋問室に入ってきた。その服はだいぶ着崩されているが、生徒会のものと同じ。この人の代わりということだろうか。



「……僕は女子が相手でもやられたらやり返しますよ」

「や~こわ~い。それと敬語はいいよ~? 同級生……ていうかクラスメイトだし~」



 その女子は気絶している男子生徒を黒のニーソックスに包んだ脚で蹴り落とすと、僕たちの対面にすとんと座った。



「高等部生徒会会計兼拷問……じゃなかった、尋問隊隊長、月見台美月(つきみだいるな)で~す。気軽にルナって呼んでね~?」



 会計……っていうことは役員か。確か生徒会は会長含めた5人の役員をトップにした組織だったはず。じゃあ1年なのに偉いのか。



「そんな怖がらなくていいよ~光華ちゃん。仲良くしようぜ~?」

「い、いえ……。で、でもその……あれやったの、会計さんですよね……?」



 光華さんの視線の先にいるのは、磔にされて気絶している高砂さん。僕たちをチクったであろう人がこんな目に遭ってるとは思ってなかった。



「あ~、あれ~? 君たちが復讐部だって言ってるんだけどさ~どうにも話を聞いてるとあの人も悪いみたいじゃ~ん? だから拷問……じゃなかった、尋問したわけ。ルナね~、拷問の腕を買われて1年で役員になっちゃったから~。見せつけてあげないと下に示しがつかないんだよね~」



 ルナさんはうっとりとした瞳で妖しげに笑いながら楽しそうに説明する。



「そ、その……私たちにもあれ、やるんですか……?」

「やりたいんだけどさ~、ルナ無抵抗の相手を痛めつけるのは好きだけど喧嘩は得意じゃないから~今は何もできないよね~。ほら、今の宗吾くん。復讐の鬼みたいな顔してる」



 もう僕たちが復讐部だというのはほとんど確信的なのだろう。わざとらしい言葉を吐き僕の顔を窺ってくる。



「……復讐部ってなんなんだよ。僕たち新入生だからわからないんだけど」

「またまた~。ま~一応説明してあげるけど~とんでもない命知らずだよね~?」



 ルナさんがテーブルに肘をつき、くつくつと楽しそうに笑いながら言う。



「生徒総会に喧嘩を売った命知らず集団。ルナ怖くてそんなことできな~い」

「生徒総会……?」


「知ってるでしょ~? 普通の生徒会は小等部、中等部、高等部、大等部に分かれて設置されてるけど~そのさらに上。年齢問わず優れた成績を収めた生徒だけが入れる、教師すらも逆らえない縦岸学園の実質的最高権力の組織だよ~。頭がよかったり~、親が政治家だったり~、部活で全国優勝したり。そんなすごい人たちの集まりが生徒総会だよ~。その内宗吾くんも誘われるんじゃないかな~?」

「…………」



 そんな組織があるのか……いや。そんな組織に復讐しようとしたのか、師匠は。この学校は20年近くの期間を同じ場所で過ごすことになる超閉鎖的学園。そういう自治的組織があってもおかしくない。



「だからルナは宗吾くんと仲良くしときたいし~、新入生だから罰も特にない。だから認めちゃお~? 君たちを率いてる人の名前だけ教えてくれればいいんだよ~。大丈夫、宗吾くんその内生徒総会に入るんだから報復なんてないから~」



 報復、か……。



「復讐ならしたい方なんだけどな……」

「おい月見台。ふざけたこと言ってんじゃねぇよ」



 ルナさんの言葉を聞いていると、生徒会の制服をきっちりと着こなしたイケメンが尋問室に入ってきて、僕を見下ろし笑った。



「ひさしぶりだな、磯子。会いたかったぜ? お前に借りを返す時が来たようだ」

「……誰?」

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