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Chapter 8 連絡先を交換してみた②


 学校へ着いた。


 先月まで、同じ中学の同級生同士でかたまっていたクラスメートたちは、気の合う人たちとグループを作り、楽しそうに雑談をしたり、ゲームの通信プレイで一喜一憂したりしている。


 一限の準備を終えた後、僕は、連絡先を教えてくれないか、という旨を伝えるために、九条のところへ寄る。


「よう、誠!」


 九条は元気にあいさつをしてきた。


「おはよう」


 僕は軽く頭を下げた。僕と九条は、朝話すだけの間柄だから、こちらとしても礼は尽くさないといけない。


「そういえば九条、この前した約束覚えてるか?」


「この前した約束って?」


「ほら、僕と話していいのは朝だけってやつ」


「え、そんな約束してた?」


 九条はとぼけた表情で聞いてきた。人のことは言えないが、自分でした約束ぐらい覚えておこうよ。


「うん」


「そんなこと言わないでさ、いつでも話しましょうよ」


「いやだ」


「えー、ひどい! ひどいよひどいよ!」


 九条は「ひどいよ」というワードを連呼しながら僕をポコポコ叩いた。この仕草は女子なら可愛げがあるかもしれない。だが、15歳にもなった大の男にこれをやられるのは、正直不快でしかない。


「まあ落ち着こう。そのために今から、連絡先を交換しよう、という話をしようとしてたんじゃん」


「ほうほう。そういえば、連絡先交換してなかったな」


 憑き物が取れたかのようにはっとした顔で、九条は僕の方を見る。


「だろう。これから課題の答えが見たくなることもあるだろうし、何か確認したいこともあるかもしれないと思って」


「そうだな」


 九条は、うんうん、とうなずく。


「今日僕は掃除当番だから、放課後」


「あ、また約束破った」


「仕方ないだろう? こういうのは早い方がいい」


「誠、そういうの、〈ダブスタ〉って言いうんだぞ」


 九条はからかうような口調で言った。


「お前、そんなくだらないことを言ってる暇あるんだったら、早く準備した方がいいぞ。ほら」


 僕は黒板の上にある時計を指差した。


 時計の針は、8時25分を指している。朝のホームルームが始まるまで、あと5分。時間がない。


「あ、やべ、準備忘れてた!」


 朝のホームルームまで時間がないことに気がついた九条は、急いで廊下にあるロッカーへと向かう。

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