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Chapter 6 ごめんなさい


 ゴールデンウィーク明けの教室。


 廊下や教室の中では、


「家族と旅行した」


「親戚のおじさんやおばさん、いとこと遊びに行った」


「中学のときの友達と久しぶりに遊んだ」


「部活の練習がつらい」


 といった自慢話や愚痴であふれかえっていた。4日間家にいた僕から見ると、よく外に出て遊んだり、部活のしごきに耐えられる気力があるなと思う。


 僕は自分の席にカバンを置いて、九条を探す。


 珍しく、九条は自分の席で眠っていた。猫のように可愛らしい寝顔。ついいたずらしたくなる。


 僕は、眠っている九条の目の前に立って、手を力いっぱい叩いた。


「うわぁ!」


 目を覚ますと同時に、九条はリアクション芸人さながらの驚き方をした。


「おい、九条」


「ん、どうした? 俺とは関わらないんじゃなかったのか? まさか、今までのは何かのドッキリでした、みたいな?」


 僕の方から話しかけてきたので、九条は不思議そうな顔をしながら、首をかしげる。


「九条、この前あんなこと言って、ゴメン」


 僕は頭を下げた。


「おいおい、どうしたんだよ、いきなり?」


 いきなり謝り出したせいか、九条は非常に困惑している。僕が、関わって欲しくない、と言ったせいで、嫌われてしまったか?


「僕、ゴールデンウィークに留守番してて、それで、なんと言うかその・・・・・・九条の気持ちが少しわかったんだよね。だから、謝ろうと思って。あと、今日から話そう。ただし、こっちの都合もあるから、朝だけ。それでもいい?」


「うん」


 長い間動かなかった時計の針が動き出し、僕と九条の長く短い2年間が始まった。今になって思うのだが、動き始めた時計の音は、さよならへのカウントダウンでもあった気がする。

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