表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
若葉~僕と君の2年間の記録~  作者: 佐竹健


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/39

Chapter 16 一緒に帰ってみた②


 店内の一角にあったイートイン。木目調の机や椅子、片隅に置いてあった観葉植物が、おしゃれなカフェのような雰囲気を醸し出している。流れている有線の音楽という一点を除けば。


 僕と九条は座り、アイスを食べた。


 ふたを開けたアイスの表面には、細かな霜や氷の粒がたくさんついていて、わずかに湯気のようなものが出ている。


「うまいな!」


「そうだね」


「やっぱりこの蒸し暑い時期に、アイスは最高だ! というわけで──」


 九条は、店員さんからもらった木の匙で、僕のアイスから少し削り取り、


「悪いが、お前のもちょっと貰うぞ」


 口を大きく開けて、ぱくりと口の中へと入れた。


「ちょ、何で人の口をつけた匙で食べるんだよ」


「いいじゃないか。免疫力も上がるかもしれんぞ」


「だからってさ──」


 自分が口つけたところで他人のアイスを食うの、気持ち悪くない? と僕が言おうとしたときに、九条は真剣な表情で語りかけてくる。


「前から気になってたんだが、お前、どうして人を避けるんだ?」


「どうして、って言われてもな......」


 本当の答えは、中学生のときに、同級生にいじめられたからだ。でも、


「そりゃあ、自分の好きなことに時間を使いたいから。それだけのことだよ」


「じゃあなんで、こんな俺と一緒にいるんだよ?」


「それはその......」


 そりゃあ、楽しいと感じるからだよ、と言おうとするのをさえぎるように、


「おう、東条久しぶりだな! 覚えてるか、俺のこと?」


 誰かが僕の名前を呼んだ。僕は振り返る。


 そこには、3人ほどの取り巻きを引き連れた、背の高い少し赤めの髪で、面長な顔に鋭い切れ長の目、なんで内田がここに?


「何なんだよ。何でお前が、ここにいるんだよ」


 内田は鼻で嘲笑うような声で、


「何なんだよ、って、そりゃあ、決まってんだろ! 久しぶりにあったお友達に、あいさつしたまでだよ。通学路が同じだからな」


 と答えた。


「へぇ」


 緊迫とした空気が、小うるさい音楽が流れるおしゃれな空間に漂う。


「よし」


 僕は九条の手をつかんで、


「逃げるよ」


 全速力で逃げた。


「おい何なんだよ、いきなり!」


 食べかけのアイスを持ちながら、僕に手を引っ張られる九条。


「おい待てよ! なんで逃げるんだよ!」


 逃げる僕を追いかける内田とその取りまきたち。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ