02
しかし、ある星で逮捕された。学校の航宙艦には発信機が付いていたからだ。
学生内の内輪喧嘩で、10歳の学生のやる事なのでダーカ銀河からサーダ銀河に追放と言う、軽微な処罰で済んだ。本来なら、航宙艦の盗みは重罪に当たるのだ。
自分自身でも浅はかだとは思うが、こうなってはしょうがない。今後の自分をどうするかが先決だ。
まずは、働かなきゃ! お金が無いのだ。追放されたこの星も、町の名前も分からないが、職がないと生きて行けないのだ。星は案外発達していて、放牧族で暮らしていた星より、仕事がありそうだ。
職を探そう。
多種多様な種族が町中を歩いている。地面は舗装されておらず、土埃が舞い、みんなスカーフで顔の半分を覆っている。建物もレンガで作り、漆喰を塗っただけの簡易な箱型の建物だ。
ぶらぶらと歩き、「斡旋所」という看板を見つけた。何を斡旋してくれるのか分からないが、取り敢えず入って見よう。
片扉を開け、中に入ったが誰もいない。んっ! 間違えたか?
「すみませ~ん。誰かいますか~」
「今、いくよ~」
奥の方から、大人の男性の声が聞こえて来た。
奥から出て来たのは、髭が生えた、禿のおっさんだった。
「あの~。仕事を斡旋して貰えないでしょうか?」
「お前さんは何が出来る?」
「航宙艦を操作出来ます。それと銃と剣も出来ます。」
「では、運び屋だな」
「運び屋ですか? 何を運べばいいんですか?」
「何を運ぶのかを知るのは御法度だ。そして、顧客情報は流してはいけないんだ」
「やばい物だったら、お断りしますが」
「ちゃんとした手続きした物だから大丈夫だ。航宙貨物船である星に行き、荷物を降ろして、帰って来るだけだ。報酬は金貨1枚だ」
「き、金貨1枚ですか?」
大金だ。僕は金貨1枚を見た事も、持った事もない。
「やるか?」
ちゃんとした手続きした物だから大丈夫だよね。
「はい、やります」
髭のおっさんに来いと言われ、斡旋所の横にある隠し扉から下に続く階段を降りる。途中、エレベータを使い、かなりな地下に来た事が分かる。辿り着いた、斡旋所の地下には、航宙貨物船が5隻程並んであり、その貨物船に中古のアンドロイドがセッセと荷運びをしていた。
「お前さんの船はこれだ」
指を指された船はこの中でも1番古い航宙貨物船だ。
僕は胸が躍った。仕事だとは言え、宇宙を飛び立てるのだ。
「積み荷は2日かかる、2日後に斡旋所に来い」
「はい、分かりましたが……泊まるお金がないのです」
「はぁ! ……では、荷運びを手伝え!! そして貨物船の中で寝泊りしろ!!」
「分かりました」
この、おっさん。こえ~。
2日後、飛び立つ日になった。それ迄、コクピットに行き、航宙艦より操作は簡単だと分かったり、トイレ、洗面所、シャワーの場所を点検した。
「さて、行きますか」
1日の行程だ、朝旅立ち、夜に帰って来る。簡単だ。おっさんからは通行手形も貰ったし、順調だな。
航宙貨物船はキャタピラに乗せられ、地下を移動。町郊外から出発するようだ。
徐々に目の景色が上がって行くのが分かり、これから飛び立つのだと分かると、ドキドキする。
「さぁ、出発だ」
2回程、ワープを繰り返し燃料を点検し、目的地の星に辿り着き、宇宙官制ステーションに通行手形を出した。
30分は経った頃、宇宙レーダーを見ると、航宙艦が周りを囲んでいるのが分かった。
何だ??? そして、航宙貨物船からドンドンと言う音と共に、航宙艦に攻撃を仕掛けた。
自動攻撃システムが反応したのだ。
「やばいっ」