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宇宙への憧れを持った少年  作者: もろこし
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01


 光聖歴2869年、宇宙は宇宙平和共和国連邦の元、銀河は平和宣言を締結した。しかし、100年後には各銀河は連合を立ち上げ、平和宣言を破棄した。それぞれが独立し、独自の法律、宗教、憲法、政治、科学を持ち、ある銀河は宗教観の違いで戦争を起こし、ある銀河は欲望のままに戦争を起こした。


 そんな時代、ある村でタケルは生まれた。タケルは幼少の頃から宇宙に憧れ、いつも星を眺める、至って普通の男の子だった。友達はみな、憧れの宇宙に旅だった。この星から脱出するかのように……。


 5歳のタケルは夜空を指さし、

「お父さん、今日もサーダ銀河が綺麗に見えるね」

 と、きらきらした目で言った。


 父は苦々しく思っていた。銀河が近くに見えると言う事は、こちらのダーカ銀河との衝突は避けられないからだ。銀河間が引き合う現象は自然の法則だが、それに伴い多大な犠牲が払われる。

「他の銀河は近くにあってはいけないんだよ」


 タケルは何の事を言っているのか理解出来なかった。

 父は放牧族であり、放牧しながら各地を転々としていた。作業要員として、アンドロイドやゴーレムを活用し、その日暮らしの日々を送っていた。


 父は、タケルを放牧族で終わらせる訳にはいかないと思っていた。じき、この星はサーダ銀河に飲み込まれる。子孫をこのままにしていい訳はないと……。


 父はなけなしの金でタケルを軍事学校に通わせる事にした。タケルも大賛成だった。憧れの航宙艦に乗れるのだ。そして、宇宙に旅立てるのだ……と。


 軍事学校に通わせるのにも、お金の他に試験がある、剣と銃と筆記試験だ。

 5歳のタケルを父は、鍛える事にした。父の愛刀の変形ビームサーベルとこの世に1つしかない銃でタケルを鍛えに鍛えた。父はその昔、宇宙騎士団長であったが、戦闘で片足を失い、ここに生活の場を移した経緯があったが、タケルには内緒にしている。又、宇宙騎士団長のコネでタケルを軍事学校に入れる事になったのも内緒だ。


 タケルが10歳の時に軍事学校に通える年齢になった。

 父はビームサーベルと銃をタケルに渡し、見送った。そして死を覚悟した。

 このビームサーベルと銃は父が宇宙冒険者時代に偶然に古代遺跡から発見した、古代人が作成したアーティーファクトだ。これを狙う敵が多く、タケルの知らない間に数十回の戦いを繰り広げて来た。そのビームサーベルと銃は、もう無い。


 実際にこのビームサーベルと銃で宇宙騎士団長に迄、昇り詰めたのだ。これが無ければ、ただの一介の片足がない騎士にしかならない。


 息子のタケルとはもう会う事はないだろう。


 タケルは軍事学校で頭角を現し、剣と銃で満点を取り、最上位クラスのSクラスに入った。筆記試験の方は中の上くらいだったが……。


 父からは、ビームサーベルと銃の使用を禁じられた為、軍から支給されるサーベルと中古の銃で訓練する事になった。


 1年の期末テストでは、銃の分解、組み立てをどれだけ早く精密に行え、その銃で正確に命中させるかで満点を取り、順風満帆かと思っていたが……。


 ここで貴族の問題児に目を付けられる事になった。


 放牧族で貴族より成績が良いのが許せない生徒だ。

 いつも虐めていた商人の息子を、ボコボコにして、タケルの所為にし、先生に密告した。この学校では暴力は御法度で、退学になる。


 学校長に呼び出された。


「君は、明日から学校に来なくていい。退学だ!!」


 タケルは途方にくれた。

 父に合わせる顔がない。


 ここまで虚仮にされたのだ、やってやる!!!


 夜中、学校の航宙艦に乗り、宇宙に飛び立った。


「これで、自由だ!! 誰にも邪魔されず、宇宙を冒険してやる!」


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